2012.07.13 のニュース
増販は電力用C重油のみ ―原油、C重油輸入でバランス保つー
石油製品の需要は、原発の稼働停止で電力用C重油か増加しているが、他油種は減少することが定着している。景気回復の遅れと、個人消費の伸び悩みで増販は期待できないようである。軽油などでは復興需要が期待されているが、それほど増販は見込まれないようだ。資源エネルギー庁が毎年作成していた石油製品の需要見通しは、昨年3月11日の東日本大震災で予測が難しく、平成23年度は見送り、24年度も8月頃を予定しているが未定である。
震災を機に石油製品の需要も大きく変化している。東北地区の経済活動の停滞が全国に波及し景気は低迷しているため、増販は電力C重油のみであり、ガソリンなど他油種は軒並みマイナスが予想されている。特にガソリンは将来的に減少が続くとみて、今後の商戦に臨むべきである。
全原発が停止していたが、大飯原発が再稼働したことで、関西電力管内の節電計画は15%から10%へ緩和されたが、今夏の電力需給は、依然として厳しい。当面、原発の減少分を石油、LNGなどの化石燃料でカバーすることになる。
各電力とも、石油(C重油、原油)の手当てを行なっているが、石油火力発電は、フル稼働が予想される。昨年は震災後に停止していた石油火力を再稼働させたが、まだ原発が数基稼動していたことと、石油火力の再稼働には点検に時間がかかった。そのため、石油統計によると平成23年度の電力用C重油の販売は上期が545万KLで前年比で38%増となったが、稼働率は低かった。しかし、
下期に入リ稼働率がアップしたことから増販となり、939万KLで152%増と大幅に伸びた。年間で1484万KLで94%増となっており、約2倍の増加である。
一方、23年度の電力10社ベースでの重油の受入は1219万KLで99%増、原油は1157万KLで147%増となった。うち下期でみると重油が779万KLで169%増、原油は754万KLで230%増となった。24年度に入り、4月の重油は131万KLで159%増、原油は145万KLで223%増、5月の重油は126万KLで143%増、原油は142万KLで181%増となっている。重油の受入より原油の方が多くなっているが、震災前の昨年2月の重油の受入は58万KL、原油は47万KLと少ない。
このように4月からもC重油は増販となっている。4月~5月の電力用と工業用を含めた全体のC重油の販売は74%増となっている。日本エネルギー経済研究所の24年度の予測では電力用が2128万KLで44%増、工業用が885万KLで0.7%減、全体では3013KLで27%増を見込んでいる。 ’
電力用C重油は増販となるが、供給体制をみると原油の生だきの増加、C重油は輸入増で対応することにしている。国産のC重油の増産で、石油製品が供給増となるのを抑える
ことで、石油製品の需給バランスを維持するために配慮している。
そのため石油製品在庫が増加することはなく例年ベースで推移している。だが、ガソリンを中心に販売数量が減少していることが供給圧力となっており市況が低迷している。6月は入梅であったため、天候不順がらガソリンが販売減となったが、7月では販売が増加し、市況の立て直しが期待されている。