日刊ニュース

2012.07.24 のニュース

石連、石油の最終提言をまとめる ―基本計画は経産省主導で策定―

 石油連盟は、エネルギー政策の見直しについて5次提言をまとめた。新エネルギー基本計画は8月末に策定することになっており、詰めの段階であるため最後の提言となる。総合資源エネルギー調査会の審議は7月30日で骨子をまとめる。ここで大筋が決まるため、1次提言の、「石油は基幹エネルギーとしての位置づけの向上をはかる」「サプライチェーンの維持・強化」から、4次提言の「2020年の石油需要は年間1.8億KL程度(08年度比の8%減)に止めることでサプライチェーンを維持する」「石油火力を15%程
度(09年度は7%)とする」など脱石油政策を改め『緊急時のみならず平時から一定の数量を使う』との政策転換を主張した。今回はこれまでの提言をまとめ、再度、関係者に要請することになったものである。
 最大の課題である電源構成に占める原発の構成比は、最終的には政府の判断に委ねられるが、その他のエネルギー政策の見直しは、各委員会などの報告をまとめ、総合エネ調で審識してエネルギー計画に織り込むことになる。
 石油政策については、総合エネ調での議論はほとんど行なわれず、経済産業省主導での審議となっている。政策面では民主党の化石エネルギー検討小委員会で識論されているが、どこまで石油業界の意見が織り込まれるか注目される。
 石油連盟の最終提言では、基本的な視点として、「石油」は利便性・可搬性・貯蔵性に優れ、日本の経済社会を支える基幹エネルギーであり、分散型・自立型エネルギーとして明確に位置付けるべきであると強調している。市場における効率的なエネルギー選択を確保するためガス・電気など、エネルギー間の公平な競争環境を整備すべきであるとし、また、緊急時への対応力の強化、「消費者から選ばれる石油」の促進を通じて石油の安定需要と安定供給を確保することで新エネルギー政策の実現を目指すと訴えている。
 石油見通しは2030年でも一次エネルギー供給に占めるシェアは34~35%(10年は40%)と見込まれ一位のシェアであるが、国民の意識として役割の重要性を欠いている。そのため消費者に理解を得ることが絶対条件であると指摘している。
 石油の特長を生かした利用拡大策として、①高効率石油給湯器(エコフィール)の導入の促進、②石油系自家発電装置の導入促進など、平常時利用の促進に取り組む。
 また、天然ガスシフトでの優遇措置は、エネルギー間の公平な競争を阻害するとして反対の立場をとっている。そのため、①自動車用燃料に対する税負担の公平性の確保、②緊急時の弱体化に繋がる天然ガスシフトありきの政策の見直し、③天然ガスのみを優遇する導入制度の見直し、などを要請している。経産省では、ガス・電気の供給の安定化を図るため、パイプライン計画が新エネルギー基本計画で採択の方向にあるが、これについても、国民負担の増加と投資採算性を勘案すべきであり、政府の支援も最小限に止めるべきと、反対の立場にある。
 火力発電については、バックアップ電源として位置づけ再評価すべきであり、緊急時対応力を確保するため、平時より一定の石油火力を稼働すべきであるとまとめている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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