日刊ニュース

2012.08.09 のニュース

石油開発は4月~6月で増益 ―原油価格は前年比で高値―

 石油開発企業と元売の石油開発事業の4月~6月決算は前年同期比で増益となった。原油価格が期中では大幅な値下がりとなり、元売の精製・販売事業は大幅な在庫評価損が発生したが、石油開発事業は、原油価格の平均が前年比で値上がりしたため増益となった。原油価格(ドバイ)の推移をみると4月初めが120ドルであったものが6月末に90ドルへ急落して、期中で約30ドルの急落となった。だが、期中平均では116ドル/バーレルで前年同期が111ドルであったため5ドルの値上がりとなり、為替が80円/ドルで2円の円高、コスト増となったが増益となった。
 一方、石油開発事業の場合は、原油、ガス価格の上昇は直接、利益増に繋がる。4月~6月の国際石油開発帝石の決算は、販売数量の増加とガス価格の値上がりにより売上高増加、経常利益は2073億円(前年同期は1783億円)で前年同期比で289億円の増益(16%増)、純利益は669億円(前年は402億円)で前年比で297億円の増益となっている。通期見通しは、原油価格(ブレント)を100ドル/バーレル、為替を80円/ドルと見込み、純利益1680億円(中間は980億円)を見込んでいる。
 石油資源開発は、売上高は増加したものの、経常利益は44億円(前年は55億円)で11億円の減益となった。これは、探鉱費の26億円増加などの要因によるもので、利益は34億円(前年は44億円)で11億円の減益となった。通期では経常利益が168億円(中間は51億円)、純利益は165億円(中間は61億円)を見込んでいる。
 元売の石油開発事業では、JX日鉱日石エネルギーの経常利益が369億円(前年は229億円)で137億円の増益。コスモ石油が177億円(前年は132億円)で45億
円の増となっている。
 このように原油価格が100ドルを超えていれば、石油開発事業は利益は確保できるため、産油国と同様に原油高は好材料となる。産油国からも「100ドルを維持したい」と報道などでコメントが伝えられている。
 石油開発は、ハイリスクーハイリターンという企業形態であるため、原油、ガス価格の動向が直接利益の増減に影響する。そのため原油高で推移することが収益安定のための条件となる。
 元売サイドの決算も、原油価格が値上がりすれば、在庫評価益が見込まれるため、数字上では増益の好決算となる。本来は、在庫評価益を相殺した数字(利益)が重要となるが、昨年度の決算では、原油高を反映しで好決算となった。
 原油価格が高騰すれば、元売も週決め、市場連動性のルールに則って即似上げを実施となる。値取りするためには、需給を絞り業転市況の値上げに取り組むため、仕切価格の値
上げも浸透する。その結果、元売も製品マージンを確保できるため、利益増の状況となる。
 以間は、原油価格の高騰はコスト増となり、その転嫁が不発となった場合、元売、販売業者が赤字を抱えることになり、実際にそのようなケースが多かった。そのため原油価格
の高騰はマイナス材料となっていたが、最近ではコスト増の転嫁が定着してきたため、値上がり局面の方が有利との見方もされている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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