2012.08.15 のニュース
予算、選択肢の決定も遅れる ―解散絡みで審議日程は不透明にー
消費税の増税は10日に決まったが、その条件として、民主党、自民党、公明党の3党が「近いうちに解散」することで合意したため、仮に早期解散、政権交代となれば、政策に混乱が起こりかねない。来年度予算要求、税制改正、エネルギー政策の見直しで大詰めにある『革新的エネルギー環境戦略』(8月末に決定)、「エネルギー基本計画」などの策定は、白紙に戻ることが懸念される状況となってきた。
解散の時期については、会期の9月8日以内から来年以降と幅があるが、秋の臨時国会で衆議員選挙改革法改正(定数是正)、特例公債法(赤字公債の発行)。などの成立後との見方が有力となっており、10月~11月の公算が強い。議員定数については最高裁によって違憲状態にあるとの判決が出ており、定数の是正なしでの選挙では、選挙結果の有効性が問われることになる。
いずれにしても選挙が近いうちに行なわれるため、政策論も選挙絡みとなってくる。来年度予算要求は、例年では8月上旬にはシーリングが提示され、8月末には予算要求が決まる。その後に年末には政府案を決定し明年3月末で成立するが、今年はまだシーリングも提示されていたい。そのため予算要求の作成が遅れている。今回の消費税の増税、内閔
不信案の否決を巡って、解散も予想される状況となり、その間は作業が中断していた。来年度へ継続する予算要求は、粛々と作業を行なっているが、財務省と予算を巡っての折衝はなく、8月末の要求は遅れる。また、経済産業省は3日に、産業界団体などから来年度の税制改正要望のヒアリングを行なったが、年末までに選挙が行なわれて政権交代となれば白紙となる公算も出てくる。
一方、新エネルギー基本計画の策定も、その前提となる「革新的エネルギー・環境戦略」の決定は8月末とされていたが、審議が9月に遅れそうである。民主党も党内にエネル
ギー・環境調査会を設けて、次期選挙のマニフェストに織り込むとの動きもあり、政府の政策決定にも影響を与えそうである。
政府は国民的議論を展開するとして、地方での意見聴聞会、パブリックコメントを求めた世論調査を突端しており、その集計をまとめる作業を行なっている。これまでの総合皆源エネルギー訓査会などの識論と、国民的な意見をまとめると、反原発の意見が多いことから、原発ゼロが圧倒的多数という結果が出る。
産業界からは電力の安定供給を考えると、不確実性の高い再生可能エネルギーを、実績のある火力、原発と同じ土俵で議論することは非現実的であるとの意見が出ている。安全性の確保を前提に、今後も原発を残し、その比率は時間をかけて慎重に議論すべきであるとしており、原発比率20%~25%案が圧倒的多数となっている。さらに、原発を再生可能エネルギーにシフトすれば、電気料金が値上がりとなり、最終的には国民の負担となる。また、産業用の電力料金が値上がりすることは国内産業の海外移転が進み、雇用の喪失、国内産業の空洞化が進むとして、原発推進で攻勢をかけている。
政府はゼロ、もしくは15%案を見込んでいるようであるが、どのように原発間題に決着をつけるのか、いよいよ期限も迫ってきた。