2012.09.03 のニュース
値上がり局面の方が利益確保 ―市場連動性の定着で様変わりー
みずほ総合研究所の調査によるガソリン価格(27日)は、147円/Lで前週に比べて3円の値上がりとなった。3週連続しての値上がりで、8月に入り累計7円の値上がりとなった。地域別でみると、高値は長崎の152円鹿児島の151円、東京も150円に乗せた。安値は沖縄が140円、高知が142円、秋田が143円となっており、高値の長崎に比べると10円程度の価格差となり、高知は唯一値下がりとなっている。
仕切価格の大幅値上げを反映して末端市況が値上がりしているもので、ユーザー転嫁は早期に浸透している。元売の仕切価格は8月に連続して値上げされ、累計約8円の値上げで、未達は1円という計算になる。
仕切価格の値上げは土曜日であるが、調査が月曜日、実際のユーザー転嫁の実施が、火、水曜日と遅れるため、次回の調査結果で未達分を加えて値上がりするものとみられる。今回のように、毎週3円という大幅な値上がりとなると、ユーザー転嫁の取組みにも地域差がでるため、調査価格にバラツキが生じている。
とはいえ、8月値上げは、短期間で一気に浸透した。最盛期の旧盆商戦の時期での値上げであり、ユーザー転嫁が難しいとの見方もあったが、猛暑日が続き、増販となったことに加えて、原油価格の値上がりに応じて先物、業転市況も値上がりしたことで、ユーザー転嫁が浸透した。
最近では、販売業者も原油価格の動きを先取りして相場を形成する傾向をみせている。月決め制の時期では、原油価格の動向を月末に読んで、翌月の対応を考えていたが、結果的には元売の仕切価格の変動幅をみてから対策に取り組むため相場形成のタイミングが遅れていた。よって値上げ時は、ユーザー転嫁が大幅に遅れるケースが多く、販売業者は、コスト増を転嫁できず厳しい経営が続いた。しかし、こうした状況も変わってきたようである。2月~3月の例では、原油急騰を受けて毎週3円程度の値上げが打ち出されたが、即、ユーザー転嫁に取り組むことになった。この間、ガソリン価格は2月の143円から3月末の158円へと一気に15円の値上がりとなった。この大幅値上げを経験したこともあり、8月値上げも浸透したことになる。原油価格が急騰して危機感が強まったこともあるが、値上がり局面の方がマージンを確保できる状況どなってきた。
元売は原油価格の値上がり局而では在庫評価益が発生することで増益となり、加えて仕切価格の値上がりでマージンが増加するため増益となる。一方、販売業者名値上がり局面では、ユーザー転嫁を急ぐことで利益を確保できる状況となってきた。値上がり時にこれまでの未遂分の回収、マージン増を加算することで、適正マージンが確保される。
逆に、値下がり局面では、値下がりを見込んだ先取り値下げが表面化してきた。以前は値下がり局面では、仕切価格の値下がりに対して、出来る限り市況を維持、下落を遅らせることでマージンを確保、利益をあげていた。そのため値下がり時の方が儲かり、値上がり時の方が、ユーザー説得に苦労して転嫁が遅れて損をするとされていた。しかし、最近は市場連動制が浸透したこともあってか、値上がり局面の方が儲かる形に変化してきたようである。