日刊ニュース

2012.09.07 のニュース

石油各社8月の月次決算は黒字か ―原油が上昇、コスト増も転嫁―

 石油各社の8月の月次決算は、小幅な黒字となりそうである。原油価格がドバイで約110ドル/バーレルへと値上がりしたことで、仕切価格の連続値上げを実施し、市況の値上げを達成したようである。原油価格が再び値上がりに転じたことで在庫評価益が発生することになり、仕切価格の連続値上げも浸透してマージンも増加、8月の月次決算は黒字となり、業績回復の兆しか出てきたようである。
 4月~6月の決算は、原油価格の急落の影響を受けた。ドバイの3月末が120ドル/バーレルであったものが6月末には90ドルまで下落したため、在庫評価損が発生、加えて市況が先取りして下落したことでマージンが低下したため赤字となった。7月~9月は原油価格が値上がり基調にあり、挽回できそうな状況となってきた。
 原油価格が値下がり局面になると、現在の週決め制の仕切価格改定では、足元の原油価格の値下がりが、業転、先物市況に反映して下落する市況連動方式でため、直ちに値下げとなる。だが、足元で処理している原油は1力月前の値下がりする前の高値原油であるため、値下げした仕切価格に比べるとマージンが悪化する。逆に原油価格の値上がり局面では、仕切価格が値上がりするが、足元で処理している原油は、値上がり前の安い原油であるためマージンが増加することになる。このように、元売の業績は原油価格の値上がり局面の方が増益のチャンスとなる。値上がり局面では、コスト増の転嫁が遅れて利益が減少するケースも多いが、現在の決算処理では在庫評価益も発生するため増益となる。
 7月に入って原油価格が値上がりに転じて100ドルに乗せ、8月には110ドルに乗せてきた。6月末の90ドルから110ドルと20ドルの値上がりとなっている。4月~6月は120ドルから90ドルと約30ドルの値下がりから7月~8月では20ドルの値上がりと乱高下したことになる。その結果、4月~6月の原油価格の値下がりによる在庫評価損を、足元の原油高騰による在庫評価益で相殺する状況となってきた。8月に入って、原油価格の値上がりよる仕切価格の値上げが連続して実施となり、ガソリンは累計で約8円の値上げとなった。猛暑のため販売が好調となったこともあり、末端市況の値上げは達成されたが、最後の週の値上げ分は未転嫁のまま9月にズレ込んだため、販売業者が負担する形となった。
 上期は、9月の1ヵ月を残すのみとなったが、元売が4月~6月の赤字をどこまで挽回できるかが注目される。ポイントは、原油価格の動きと市況の安定化にかかっている。今後は、原油価格が足元の110ドルよりも若干値上がりすることで3月末の水準まで戻すと、在庫の影響を相殺できる。あとは市況が安定して、マージンを確保すれば下期で挽回が可能とみている。
 原油価格はここにきて横ばいか軟化気味となっており、仕切価格も9月1日からは10銭~20銭の小幅な値下げとなった。小幅でも値下がりとなると、販売業者が価格競争に走ることになり、利益確保が難しい局面となるが、ここは外部環境に左右されず、市況維持に努めるべきである。
 4月~6月の赤字を7月~9月で挽回して黒字にすることは難しいが、赤字幅を縮小することで、下期には黒字への転換を狙っている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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