日刊ニュース

2012.09.10 のニュース

災害に備える“SS業”づくり

防災週間に先立って、最大震度7が10県、震度6が14府県と広範に及ぶ南海トラフ巨大地震の被害想定が公表された。東日本大震災と比べると、被害最大ケースでマグニチュードは9で同等、浸水面積は1・8倍の1015平方㌔㍍、浸水域内人口は2・6倍の163万人、死者・行方不明者は17倍の32万人超、全壊棟数は18倍の239万棟に達する見通しになっている。
 ただし、30年以内の発生確率が相当高く予測される東海、東南海、南海地震とは異なり、切迫度は極めて低いとした。また、防災対策を講じれば相当の減災ができるともいう。3・11以降、「想定外」との言葉が繰り返されたが、中央防災会議・防災対策推進会議は「あらゆる行政分野で“防災の主流化”を図り、災害に強い地域をつくる」重要性を強調。災害対応に当たっては「“平時”を物差しとすることは禁物で、平時からの計画が必要」「災害対応はすべて時間との競争」と指摘。同感で、我々の実感だ。
 エネルギー政策の見直しが最終局面に差しかかる中、販売業界は石油の必要性と利便性、SSの優れたインフラ機能を訴え続けている。それは大震災後、寝食を二の次にしてでも安定供給をはじめ、大都市部では帰宅困難者サポートにも全力を挙げた当事者ゆえの偽りなき思いにほかならない。石油連盟も数次にわたって提言を重ね、災害に強い分散型・自立型の石油を大事に取り扱う省エネ社会づくりを要望してきた。
 SSはエネルギー供給最後の拠り所であると同時に、小口配達の基地局でもある。地域にとって不可欠なインフラ、大災害時でも機動的対応力に勝る地場中小SSがこれ以上消えていくことは、社会損失と言い切りたい。規模が大きく、ガソリンの安いSSだけが残っても、ハートフルな、きめ細かなエネルギー供給は行き届かない。中核SSや小口燃料配送拠点の整備が進められ、先行している通常災害対応型SSも全国300ヵ所弱へと広がってきたが、その他大勢を占める一般SSが数多く残っていればこそ、いざという時の能力がより発揮しやすくなる。
 そのためにも、サプライチェーンの最下流に位置し、対消費者では最前線を担うSS経営を安定軌道に乗せ、スタッフが働き甲斐を感じられる環境づくりに業界一丸で至急取り組まねばならない。災害は、都合よく悠長に待ってくれないのだから。

提供元:全国石油商業組合連合会
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