日刊ニュース

2012.09.28 のニュース

天然ガス開発に重点取り組み ―LNG高騰で調達ソース拡大をー

 福島原発の事故を機に原発の稼働が停止したため、石油、LNG火力へのシフトが急速に進んでいる。その結果、LNGの輸入数量が増加、輸入価格の値上がりもあって貿易収支が赤字となるなど日本経済に大きな影響を与えている。そのため経済産業省はガスシフトを重点策として、天然ガス開発の推進に対しての助成、調達ソースの拡大、国内では広域ガスパイプライン網の整備構想の推進などに取り組んでいる。・天然ガスの開発、ガス田の買収には、JOGMECを通じて資金を投入するなど予算を計上している。政府も資源外交に活発に取り組んでおり、産ガス国に対して経産大臣、副大臣、政務官などを派遣している。
 アメリカに対してはシェールガスの輸出を要謂している。アメリカは、FTAを締結していない日本に対しては輸出を認めていない。輸出には政府の許可が必要であるため、外交渉の場面では、その都度、輸出の促進を要請している。すでに1件のプロジェクトについて、アメリカは海外に抽出を認めており、韓国とは売買契約を締結している。今後、輸
出を検討中のものが3件あり、日本政府も引続き交渉しているが、難航しそうである。シェールガスの生産拡大はカナダなどでも期待ができるため、LNGの輸出に対しても租極
的なアプロ-チを行なっている。また、商社など日本を業も開発、輸入拡大に名乗りを上げている。ガス開発については、経産省も財政投融資枠(産業投資)で別途、予算を確保
している。
 注目されているアメリカでのシェールガスは、生産が本格化したのは2005年からであり、その後は増産が続き、2009年ではLNG換算で約7000万トンとなり、今後も生産は増加する見通しである。その結果、アメリカは輸入国から輸出国に変わっており、一時はガスが供給過剰で暴落するとの見方もあった。しかし、日本の原発稼働停止で様相
は急転、ガス(LNG)の需給はタイトになり価格は高騰した。
 日本のLNGの輸入数量は8300万トン(平成23年)で11%増、今年は9000万トンが見込まれ、ガスシフトが一段と進む。LNGの価格高騰で電力料金が値上がりすると、国民生活にも大きな影響を与えるため、政府は調達価格引き下げの対応策を模索している。19日には座学LNG産消会議を開き、ガス生産国と消費国がガスの安定供給ついて意見を交換、枝野経産大臣がLNGの高値に対して是正を求めた。
 アメリカのガス価格は2ドル程度(MMBTU)であるが、日本のLNG輸入価格は16ドルで大幅な価格差が生じている。これは原油価格とリンクしているためであり、是正する決め手はない。輸入国である韓国の共同輸入などの案もあるが、具体化には至っていない。ユーザーが電気、ガスの公共事業者であるため、関心が薄いとみられる。
 一方、日本企業の天然ガス開発の取組みは、国際石油開発帝石がインドネシアで、JX日鉱日石開発がマレーシアで、三井石油開発がタイなどで生産している。また、国際石油開発帝石がオーストラリア(イクシス)で2016年生産予定、LNGが年間で840万トン、LPGが160万トン、コンデンセート10万/バーレルなどが見込まれている。


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