日刊ニュース

2012.10.03 のニュース

エネ重点策に業界の要望加わる ―石油火力の位置づけなどは再度要望―

 総合資源エネルギー調査会でのエネルギー調査会でのエネルギー基本計画の審議は、政府の「革新的なエネルギー・環境戦略」(原発ゼロ)が閣議決定とならず見送り(参考資料扱い)となったことから中断している。だが、来年度予算要求の前提となる、今後の石油などのエネルギー重点策については、とりまとめの段階となっている。この重点策を基に、経済産業省は石油業界の要望を組み入れて予算要求を行なっている。
 政府のエネルギーミックスの選択肢(原発依存度)が閣議で決定されれば、これにエネルギーに関する重点策を加えることで、エネルギー基本計画が決まる状況にあった。しかし、政府の方針である「2030年代に原発ゼロを目指す」との目的に対して反発が出たため閣議決定に至らず「柔軟性を持って不断の見直し」となった。18日に開催された総合エネ調では、政府案の容認と反対に各委員の意見が分かれた。最後に三村委員長が『政府の方針が明確でなく、この政府方針のままでは審議が難しい」と発言したため、その後の審議は行なわれていない。
 さらに、政権交代もあり得るとの見方も出ており、選挙の結果次第では、来年度予算、エネルギー基本法の見直しも白紙撤回されることになる。1日は内閣改造となり、当面は
政治空白が続くことから、エネルギー基本計画の審議どころではなくなる。その後、臨時国会が開催されても、三党合意による解散問題が中心となる。選挙の結果次第では、新しい枠組みとなるなど、これから年末に向けては予想がつかない状況が続くことになる。
 東日本大震災を機に石油が災害に強く、ガス、電力に比べて復旧が早く、安定供給が確保されたことが実証された。これを反映して、原発政策を除いたエネルギーに関する今後の重点策をまとめており、経産省は、すでに来年度予算要求を行なっている。木村石連会長は「重点策に石油のサプライチェーンの強化・維持、平時からの安定的な需要の確保などの重要性が指摘されている点、石油精製・石油化学等の戦略的な連携強化、革新的な石油精製プロセスの研究開発など、精製業の国際競争力・経営基盤の強化などの方針が石油政策に織り込まれている点が評価できる」とコメントしている。
 これらの項目は、来年予算要求にも取り入れられており、前年に比べて増額となっている。しかし、年末の政府案決定の段階で、新政権となった場合は、どこまで政策、予算に反映されるか、政局次第となるため不透明である。 
 一方、引続き検討を要望する項目としては、①平時から安定需要を確保するための具体策が不十分である、②天然ガスシフトありきの政策を見直すべきである、③石油火力をバックアップ電源に位置づけ、「石油火力」のリプレースと排煙脱硫装置の設置に取り組むこと、④石油は完全自由化、電気も自由化の方向にあるが、消費者利益の拡大に向けてガス事業の規制改革の議論を開始すること、などの点をあげている。
 これらの要望は、従来から問題点として指摘されていたが、電気、ガスという、別々のエネルギー業界での利害が絡むため、意見や方向性などの調整は難航するが、主張は続けるべきである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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