2012.10.09 のニュース
発券店カード禍はもうないか
わが商売なのに、自店の採算に見合う値付けができない。常識外の安値で発券する競合異業種企業への商圏移動・・・。“発券店値付けカード”問題の存在が再浮上した。東京石商が今夏に実施したアンケート調査で、同カードの取り扱いによって採算水準が大きく損なわれていること、3年強の間にガソリン・軽油とも代行給油比率が1割も増加していることなどが判明した。
突然の顧客喪失、サービス内容はまったく同じなのに給油口銭は倍・半分も違ったり、同カードへの対抗上やむなく価格対応したため口銭が極端に圧縮されたなど、はがゆくて納得し得ない経営支障。08年10月、エネ庁が全国約9000社から回答を得た同カードの影響調査結果を公表した際、手数料の低さや一方的な手数料設定に対する不満が顕在化し、「できれば取り扱いをやめたい」との回答が過半を占めていた。丸4年間で、事態は解消されたのだろうか。大都会に限らず、地場中小フルサービスSSがこんな現実に直面しているのではないかと、気がかりになった。代行給油比率が全体の3割を超えると、事実上、それ抜きには経営維持が困難になるとの見方すらある。
「顧客に対する利便性の提供」。当初は発券店も代行店も同カードシステムの意図に一定の理解を示していたともされ、大義名分はいまも変わらない。ユーザーが利用し続けているのだから、一定の支持を得ているのは事実だ。だが、軽油や灯油の販売減、油外の収益強化が難航する中で、特に一般的なフルSSはガソリン口銭の確保を図る傾向を強めている。都市部を中心に同カードへの問題提起が散見されるのは、セルフSSの増加が、既存顧客との結びつきに一層の重きを置き始めた地場中小SSに同カード客の流入を加速させる引き金になっている要因の1つであることも否定できない。他方、発券店も貸し倒れリスクを負いつつ、より強大な発券者の廉価攻勢に苦渋していると推察される。
同カードが有する負の側面に対し、25年も前から是正要望を繰り返してきた東京で、自ら給油施設を持たないリース会社の増勢を牽制する意見が再び続出した。手数料の引き上げ、給油店値付け方式や油外商品も決済可能なシステムへの変更なども提案され、実効を得る検討を開始するという。発券目的は受容できたとしても、そのやり口が一般発券店・代行店双方の許容範囲を外れたのである。