2012.10.12 のニュース
総合エネ調、再開の目途は立たず ―今後のエネ重点策で予算、政策を推進―
エネルギー基本計画を策定する総合資源ネルギー調査会基本問題委員会の再開の目途は立っていない。政府が「革新的なエネルギー戦略」を決定したが、その方針である「2030年代に原発ゼロを目指す」ことについて閣議決定に至らず、その直後の9月18日開催の総合エネ調で、三村委員長が「政府の方針が決まらないため、今後の審議は難しい」と述べたことで、以後、開催されることなく今日に及んでいる。
一方、政局も三党合意の「近いうち解散」を巡っての与野党の対立が続いている。野田改造内閣の発足、自民党新総裁に安倍氏が決まり、新体制が1日にスタートしたことで、より対立色を強めている。臨時国会の開催も決まらず空白状況が続いており、仮に解散となれば政権交代の公算も強く、エネルギー政策も白紙に戻るため審議も無駄となる。
そのため事務局(経済産業省)も様子を見ているようである。解散の時期が決まり、総選挙が実施され、その結果をみてからでないと再開は難しいことになる。エネルギー基本計画の策定は今後の政局次第となるが、解散、総選挙となれば、原発開題が争点となり「反原発」と「原発推進」の対立となる。自民党は、原発は減らすがゼロではなく、稼働を続ける方針であり、総選挙の結果をみないと、この原発政策の方針は定まらない。総合エネ調の審議は中断のまま経過しそうである。
その結果、当面のエネルギー政策(石油政策)は、これまで総合エネ調で審識してきた「エネルギーの今後の重点策」を基に推進されることになる。総合エネ調の審議では、原発政策を除き、他のエネルギー政策の審議を終えており合意を得ていた。原発政策がまとまれば、新エネルギー基本計画が策定される段取りであったが、急転して棚上げ状態となっているもので、経産省は、すでに来年度予算要求も決めており、財務省と折衝を行なっている。
ただ、予算関係では、災害復興予算の執行の段階で災害地(東北)以外の地区で使われていることが指摘され問題となっている。石油予算関係では問題がないことが確認されているが、来年度予算の折衝段階でもこのような問題が提起され、財務省による処理に時間がかかることから、来年度の予算作成にも影響が出そうである。年末には予算を決めることになるが、解散、総選挙で政権交代になれば予算の組替えも予想される。一方、選挙が来年以降となると、民主党政権による予算案となる。
いずれにても、今後の政局の見通しは難しくエネルギー予算の編成、政策推進策も不透明のままとなっている。石油関係の予算要求額は、今年度を上回っており、東日本大震災で認識された石油の重要性が反映されている。石油開発予算は、天然ガスシフト、LNG・石油火力の稼働増などがあり、LNGの供給確保で開発関係への予算は増加している。JOGMECを通じたリスクマネーの供給は増額となっている。
石油精製関係は、製油所、油槽所などの基盤整備の強化、合理化対策に配慮している。販売業界には、石油サプライチェーンの最前線としての役割を担うSSが減少する中での安定供給策、災害対応中核SSの整備、離島対策、SSの土壇汚染対策などに予算を計上している。