日刊ニュース

2012.10.18 のニュース

収益あってこその有事対応

 有事の際、行動計画に沿って自らの安全を最優先しつつ、かつSS機動力を確保する。これを補完するために、間もなく全石連|石油組合による「石油製品流通網維持強化事業」=災害対応ソフト事業が始まる。災害時の行動計画に基づいた研修会・実地訓練などを通じて、防災や減災に対する専門的な知識を有するSSの人材育成を後押しするもので、略称通りのソフト=人材育成が中心の事業だ。
 SS業界はセルフ解禁、薄利での廉売競争激化のこの15年間、それまでいた人材の多くを時給に置き換えてしまい、さらに人数を絞り続けてしまった。さらに悪いことに、それらによって得られたコスト削減の果実よりも大きな果実を、市中に吐き出し続けてしまった。その間、多くの汗をかき続けた人材も、そして経営者も、労多くして益なしという構図の時代を過ごした。
 このトレンドをなんとか変えなければならない。地下タンク対策にも、新たな収益基盤の構築にも、そしてなにより、優秀な人材に報いるための収益が必要だ。
 1990年代に㍑25円の粗利をSSにもたらしたガソリンは、平均でその4割にしぼんでしまっている。この低収益によって、6万1千に迫っていたSS数は4割減の3万7千へと減少し、残存SSの数量をかさ上げし続けてはいたが、今後はガソリンの減少率が、SSのそれを上回る時代に差し掛かる。
 至近SSまで20㌔というSS過疎地が全国に広がり始め、不便を来たすガソリン難民が増えている。高齢化の進展で、免許を持たない独居老婦人が増えていく。地域で1SSでも残れば、限界集落の拡大を防ぐ余地が残るだろう。配達業務に手が回る収益基盤があれば、きめ細かくお客様のニーズに対応できるだろう。灯油ばかりでなく、新たに、よろずの配達業務を承る新・収益基盤の構築に着手すれば、そのSSはより強固な地域インフラとなるだろう。
 我々は、多くの住民がSOSを発する大災害ばかりでなく、1人のお客様・地域の個別世帯が発するSOSにも、有効な機動力を発揮するSSであり続けたい。SS経営者は、全石連の災害対応ソフト事業で人材面を強化しつつ、その人材を支え続ける収益基盤の再構築を果たす。粗利の再構築を果たす。さらに次世代に向けた事業の再構築を果たす。この方向へ踏み出そう。

提供元:全国石油商業組合連合会
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