2012.10.29 のニュース
「軽」に見る「団」の力
A車は2万1600円、B車は4万1200円、C車は8万6500円、D車は11万6600円。クルマを新たに所有することに伴う3年間の、いわゆるエコカー減税対象のコンパクトカーの税負担事例だ。AとBは「軽」自動車、CとDは登録ガソリン車で、Cはハイブリッド車。中でも「軽」自動車の優遇が際立つ。欧米勢の要求で、従来までの優遇措置は持続できないであろうが、関連事業者、ユーザーともにその恩恵に広く預かる「軽」の優遇税制の履歴は、一考に値する。
軽油という「軽」も、石油販売業・特別徴収義務者向けの徴税コスト充当を目的とした還付制度があり、自治体税収で重みを増す軽油引取税がその原資だ。その脱税・不正防止のために平時から、税収保全・確保のために石油販売業者を含む関係者が有機的に連携・機能している。
「軽」油関連事業者の中でも、法に基づく運輸事業振興助成交付金を有するトラック、バスの公益法人のあり方は、「軽」自動車を凌ぐ示唆を我々に与える。これらを原資で運営するターミナル内SSで、一般販売に踏み切る目的外使用への怒りはここでは抑えてほしい。
トラック・バス事業とも、その経営は極めて厳しい。トラックは燃料高や増税などコスト高転嫁の際、荷主に対して極めて弱い構図がある。バスも民間は他社動向、公営はその公益性が足かせとなり、経営浮上が極めて困難な外観だ。いずれも「個」の経営基盤が極めて弱く、SSとの多くの共通項が見えるが、「団」では大きな力を発揮する。
運輸事業振興助成交付金は、①輸送の安全の確保に関する事業②サービスの改善及び向上に関する事業③環境の保全に関する事業④適正化に関する事業⑤共同利用に供する施設の設置又は運営に関する事業⑥震災等災害に際し必要な物資を運送するための体制整備に関する事業⑦経営の安定化に寄与する事業などに規定されているが、これらの諸規定を、石油、SSに置き換えてみると、我々の次世代化にも有用なキーワードが多く見つかる。
9千億円弱の軽油引取税に対して運輸事業交付金は計175億円。約2兆9千億円に達するガソリン税、軽油引取税などを担うのが石油販売業、SSだ。「個」として蓄えることが困難な次世代向けストックを、「団」として手当てする。一考に値する「軽」事情だ。