2012.10.30 のニュース
灯油復権を図る協働と強調
気象庁予報では、11~1月は全国的にほぼ平年並みの気温・降水量。ここにきて、高山部からは初雪の便りが届き、北国や寒冷な平地では灯油商戦が始まっている。とりわけ需要地における灯油は、配達要員確保を含めた運営体制や1年間の収支計画を左右する大事な季節商品であり、これを通年商品とするために給湯器の販路開拓も重視されている。
灯油需要はエネルギー転換などの攻勢に押され続け、昨年度の販売量は1813万KLと10年間でなんと1100万KL、4割もの減少状態となった。同期間のガソリン8%減、軽油17%減に比べても、激減ぶりが際立っている。
こうした中で、東日本大震災か勃発。石油業界人の多くは、被災地以外でも灯油を求めてSSに押し寄せた消費者の姿をはっきり覚えているが、あれほど石油製品の重要性が再
認識されたはずなのに、お客様の意識は随分薄らいでしまったようだ。だが、エネルギーの確保に苦労しないで済むなら、それに越したことはない。いま我々がなすべきは、便利で快適、経済的、安全性も一層高まつている灯油暖房機器の特長を広くアピールすること。同時に、店頭給油・配達サービスが行き届いていることも欠かせない。
ここ近年は販売業界、元売、石油機器メーカーが連携強化を図り、油機器・灯油の復権を目指す取り組みが広がってきた。石連は「石油の力」をキャッチコピーに打ち出し、灯油暖房のメリットを積極的に訴求中。HPの関連サイトバナー「ほかほかアカデミー」には、エネルギー別のコスト・CO2排出係数比較を各県別に用意しているが、両面ともほぼ論尹を維持。環境負荷は電気暖房より少ない。また、全石連、石連、機器工業会、関係石商が協働したセミナー、現在実施中のほかほかキャンペーン、自治体への同行訪問など、電気やガス暖房に対抗する姿勢を強めている。このような灯油暖房の利点を消費者に正しく伝えることができるのは、身近なSSや配達スタッフである。地域をあげた復権運動として、灯油まつりを開催したり、検討する組合が出てきたことは心強い。全体需要の拡大は容易でないが、個店レベルではしっかりニーズに答え続けること、新たな商機を見い出すことで、経営価値を高めることは可能なはず。もう一度、灯油の潜在能力を引き出そう。