日刊ニュース

2012.11.02 のニュース

灯油の割高感を払拭し需要喚起を ―冷え込みが早く増販を期待―

 東京地区も朝、夕は冷え込んできたため、灯油の荷動きが出てきた。時期的には昨年よりも早いようである。都市部の末端市況はSS店頭売りは98円~99円/Lも散見するが概ね100円で、配達は110円でシーズン入りとなっている。配達価格は1缶(18L)2000円で20円のおつりが出る1980円でとどめている。2000円を超えと
ユーザーも高値感を持つため、2000円以内で相場づくりを行なっているようだ。今後は仕切価格の助向次第で値上がり、値下がりが予想される。
 現在、原油価格は下落傾向にあり、仕切価格も値下がりしているが、これから需要期に入るため灯油の値上がりも見込まれる。原油価格次第となるが、国内の灯油需給は在庫を330万KL台に積み上げており、前年の水準を確保しているため供給面では万全となっている。仮に供給不足となった場合も、設備には余力があり増産は可能で、また、輸入増での対応もできる。
 残るは冷え込みを待つだけだが、北海道、東北、北陸の寒冷地は、平年に比べると冷込みは早いようである。天気の長期予報が外れるケースも多いが、灯油商戦では、寒波がいつ襲来するかにかかっている。一度、灯油ストーブを使用すれば、以後、灯油が消費されるため、荷動きが活発化する。
 今年は秋が短く、早めに冬が訪れそうである。東日本大震災を機に、石油業界も灯油需要を喚起するためのキャンペーンを実施しており、灯油ストーブメーカーもTVで宣伝すなど、灯油の増販が期待されている。オール電化攻勢は下火となったが、都市ガスは攻勢をかけており、灯油増販には創意工夫が求められる。そのため灯油ストーブ、灯油暖房機器の普及がポイントとなる。灯油は、持ち運びも容易であり、供給対応力があり、経済性も高いと評価されているが、都市部では、すでに電気、ガスヘ燃料転換しているため、このシェアを奪還するのは困難である。だが、電気、ガスヘの燃料転換を食い止めるためには、新築住宅への灯油給湯器(エコフィールなど)を売り込む必要がある。そこで、石油業界では、灯油が災害対応能力に優れた分散型エネルギーであることをPRして、普及に努めている。
 石油連盟では、灯油の安定供給のためには、平時から一定の安定需要を確保すべきと要望している。学校、病院、公共施設などは緊急時対策を兼ねて灯油を消費し、備蓄を持つべきであり、それを政府が支援すべきであると要請している。
 灯油需要が減少した理由として、灯油が、電気、ガスに比べて割高であることがあげられる。エネルギー別でコスト比較すると、石油連盟の試算では灯油の方が割安となっている。しかし、1缶(18L)の購入代金が2000円となるとユーザーも高値感を持つことになる。原油価格の高騰により灯油価格が急騰した例も多いため、ユーザトは灯油が高値という印象を持っている。
 電気、ガス料金も原油価格に影響を受けるが、料金は銀行引き落としであるため実感が薄い。だが灯油の取引きは、その都度、現金の支払いとなるため、高値を実感することに
なる。灯油の割高感を払拭して、安いことをもっと訴えるべきである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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