日刊ニュース

2012.11.05 のニュース

エネルギーの大局を見据えて

 2011年度における環境対応車の国内向け出荷台数は25%増の448万台。内訳はHVが5割増の67万台、EV1・7万台、CNG車670台、ディーゼル代替LPG車410台で、HVシェアが15%に達した。とはいえ、これ以外は低燃費かつ05年基準排ガス75%低減レベル車(☆☆☆☆)363万台、低燃費かつ排ガス50%低減レベル車(☆☆☆)16万台だったから、大勢は普通のガソリン車が占めている。前号でも指摘したが、ガソリン消費の抑制を過度に誘導すればユーザーの利便性を削ぎ、財政にも波及する。
 本紙は6回連載で「発進!FCV」と題して燃料電池自動車の特集企画を掲載した。FCVは、我々の期待に応えてくれるだろうか。かつて、新燃料車として注目したCNG車は見込みほどには普及せず、先行した天然ガススタンドもフル稼働とはならず、地球に優しいというイメージ戦略的には運送事業者などの一部で利用が進んだものの、マイカー系へと波及するには至らなかった。その天然ガスはいま、発電用化石燃料として需要が高まり、またシェールガスの導入促進に伴う大幅コストダウンが期待されている。エネルギーの行方には、なにが起きるかわからない。
 FCVも鳴りを潜めているように見えるが、トヨタとホンダはリース販売を含めて走行実験を丸10年間続けている。CNG車以上に確かなのは、行政、自動車メーカー、水素供給事業者が一同に会して15年のFCV本格導入と、水素SSの先行整備を宣言していることだ。市販を視野に入れたコンセプトカーは登場済み。SS側も商用仕様店舗の建設を進めており、ガソリンと水素を併売するビジネスモデルもお目見えする。さらに、元売はFCV500万台分の水素製造余力を有しているというから、心強い。
 残る課題は一層のコスト低減。EVと違い、FCVは水素インフラが不可欠。そしてなによりも、我々がプレーヤーの要として関わる状況を引き出すことが必要だ。アイディアとして提起されている「場の賃貸し」は、大きな後押しになる。エネルギー源の多様性に富み、自動車メーカートップに「究極の環境対応車」と言わしめるFCVがSSに訪れ、多様なサポートができる日を実現させる最善の方策は、きょうから収益を積み上げていくこと。業界一丸で大局を見るべき時だ。


提供元:全国石油商業組合連合会
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