日刊ニュース

2012.11.07 のニュース

設備処理、老朽SSも減少へ ―新しい秩序形成に向けて対応―

 JX日鉱日石エネルギーは、室蘭製油所(原油処理能力18万バーレル/日)を2014年3月末に停止することを決めた。その後は石油化学工場として再構築することになる。この室蘭の停止でJXエネルギーのトッパー能力は、14年3月末には121・2万バーレル/日となり、08年12月末の179・2万バーレル/日から58万バーレル/日を削減することになる。
 JXエネルギーの設備処理計画が発表されたことで、エネルギー供給高度化法による設備処理計画への対応は、出光興産、昭和シェル石油、コスモ石油がすでに計画を発表していることから、残すは東燃ゼネラル石油のみとなる。東燃ゼネラルはエクソンモービルから株式を取得して新体制に移行しているが、設備処理計画について近く方針を明らかにする。
 コスモ石油は、先に坂出製油所(14万バーレル/日)を明年7月に停止すると発表しており、まだ処理枠が不足するが、後日、追加方針を決めることになる。これで高度化法による肌理計画に目途がついたことになる。
 JXエネルギーも室蘭の停止により、エネルギー供給高度化法の要件を満たすことになる。従来から20万バーレル/日を削減する計画を発表するとしていたが、内田副社長は「室蘭の18万バーレル/日で削減で高度化法の目標は満たすと考えており、この室蘭の停止でJXの設備処理計画は終わる」と述べた。この結果、14年3月末時点でのJXエネルギーの設備は、仙台が14・5万バーレル/日、根岸が17万バーレル/日、水島が34・5万バーレル/日、麻里布が12・7万バーレル/日、大分が13・6万バーレル/日、鹿島が18・9万バーレル/日となる。なお、大阪が11・5万バーレル/日で操業しているが、これは輸出製油所(大阪国際石油精製に移管)となっており、内需減少への対応として削減枠にカウントしている。一連の処理計画では日本海・富山(09年3月末で停止)と室蘭の2製油所が停止、さらに各製油所の能力削減で対応したことになる。
 足元の全国の原油処理能力は448万バーレル/日であり、9月の原油処理量は326万バーレル/日で稼働率は72.7%となっている。事故、定期修理などの操業停止分を除くと稼働率は約90%となっている。今後、設備処理の実施で稼働率はアップする。
 高度化法によるトッパー能力の削減は、重質油分解装置の装備率の引き上げを狙ったもので、日本全体で10%であるものを13%へ引き上げることになる。白油化を図るもので、分母をトッパーに、分子を重質油分解装置として装備率を求めたものであり。装備率10%未満の場合、45%の改善策が求められるものである。当初は石油業界から反発も出たが、法律での義務付けであるため容認することになった。目途を2014年3月末としているが、各社が計画に則り設備処理する方向を示したことで、製品需給は安定化する。
 時期を同じくして、老朽化したSSの地下タンクの補強・補修が義務づけられている。修理には国の補助策が講じられるが、コストをかけて修理しても採算が合わないと判断したSS業者は撤退することになり、この時点でSSも淘汰される。
 元売と販売業者は、それぞれ大きな節目を迎えることになるが、このヤマ場を乗り越えれば、設備、SSの適正化が進むことで、新しい秩序が形成される。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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