日刊ニュース

2012.11.09 のニュース

下期、原油は110ドルを見込む ―上期の不振を挽回し通期で回復―

 石油各社の上期決算が出揃った。セグメント別の石油事業では、原油価格の下落により業績が悪化、赤字(在庫評価損を除くと黒字)となったが、下期では原油価格の値上がりを見込み、在庫評価損が縮小されることで挽回、通期では8月の予想を上回る黒字となる見通しである。通期見通しでは、その前提として原油価格をドバイで下期(11月以降)110ドル/バーレル(上期は108ドル)、為替を80円/ドル(80円)と、原油は足元より小幅な値上がりを予測している。
 原油価格(ドバイ)は、期初では120ドルであったものが6月には90ドルへ急落したため、4月~6月で多額な在庫評価損が発生した。その後、地政学リスクなどで高騰、9月末には110ドルに戻したが、4月~6月の評価損を消すことはできず上期では損益が残った。上期の原油平均価格は108ドル、前年同期が109ドルであったため1ドルの下落となったが、期中の変動幅が大きく評価損となった。
 しかし、下期が110ドルで推移すれば、通期では前年同様109ドルとなり、ほぼ評価損が消える。また、下期は上期に比べると増販となることから、通常マージンが確保されれば、8月予想の利益は確保できるとの見通しとなる。足元のドバイは105ドル~106ドルであるが、アメリカ大統領戦後の景気回復期待で値上がりしそうである。
 上期の決算は、JX日鉱日石エネルギーの石油精製販売は、96億円の経常損失で、前年比では1521億円の減益となった。だが、在庫評価損が433億円あり、これを相殺すると337億円の黒字となる。のうち石油製品は239億円、石油化学製品は98億円の各利益、また、石油開発は582億円となった。石油精製販売の通期見通しでは、経常利益は1300億円(8月予想は770億円)となる見通しである。うち在庫評価損は、原油価格が110ドルで維持されると70億円に縮小される。在庫影響を除く経常利益は1370億円で、その内訳は石油製品が1110億円、石油化学製品が260億円の利益となる。また、石油開発事業の経常利益は原油価格の上昇で900億円、石油精製販売と石油開発を合計すると2200億円となる。
 出光興産の石油製品の上期決算は、営業利益が51億円で黒字となった。前年比では440億円の減少となるが、在庫影響を除くと156億円の利益となる。その他、石油化学製品が57億円、資源が190億円、うち石油開発が186億円、石炭が5億円の利益となっている。通期では石油製品の営業利益は455億円(8月予想は190億円)、在庫影響除きで470億円となる。石油化学製品が85億円、資源が215億円、うち石油開発が215億円、石炭はゼロとなる。
 コスモ石油の石油事業の上期決算は、経常損失が377億円で前年比438億円の減益、在庫影響除きで207億円の損失となった。千葉製油所の事故と操業停止によるコスト増が影響している。石油化学が22億円の損失、石油開発が242億円の利益となった。通期でも石油事業は330億円の損失、在庫影響除きで200億円の損失となる。また、
石油化学が10億円の利益、石油開発事業が575億円の利益となるため、連結経常利益は250億円となる。石油の赤字を石油開発でカバーして黒字としている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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