日刊ニュース

2012.11.29 のニュース

即ユーザー転嫁を実施へ ―遅れる商慣習は是正をー

 ガソリンの仕切価格は24日(土)から約2円50銭/Lの値上げとなった。週決めでは大幅な値上げとなるため、販売業者もユーザー転嫁に取り組むことになる。ただ、末端市況は10月から連続して値下がりしている状況下にあるため、販売業者の足並みが揃うかが注目される。
 仕切価格の値上げは土曜日からの実施となるが、ユーザー転嫁は火曜日か水曜日になるのが通例となっている。これは、値上げが土曜日から実施となっても、実際にSSのタンクにあるガソリン在庫は値上がり以前のものであるため値上げせず、従来の価格で販売することにしているもので、大抵はコスト増が回収できないケースとなる。
 その後、仕切価格が値上げされたガソリンを仕入れたものから値上げして販売するという後入り先き出しの商慣習に基づいている。さらに周辺SSの対応をみながら牽制することもあり、値上げ時期は大幅に遅れるのが常である。
 今回も24日(土)から仕切価格は値上がりとなるが、ユーザー転嫁は遅れるため、みずほ総合研究所の調査価格(26日の月曜日)には反映されないことも予想される。まだ値下がりする地区も出る公算もあり、下げ止めとなれば良しとなる。そのため値上がりの結果が出るのは、1週間遅れとなりそうである。
 仕切価格の値下げの場合は、先取りして、仕切価格の改定前に末端市況が値下がりすることになり「値上げは遅れ、値下げは速い」ことが販売業界の慣習として残っている。
 仕切価格の値上がりに対して、即転嫁できずに、周辺のSSの様子を見て対応することは、先行して値上げするとユーザーに割高な印象を与えることになり販売シェアを失う懸念が常にあるためである。価格競争が常に存在することから、止むを得ない面もあるが、販売業者間で市場形成に対して、採算販売を重視するコンセンサスづくりが求められるしかし、HCなどの異業種、量販店などが渾然としているため、協調は難しいという実態である。
 ユーザー転嫁が遅れる商慣習では、在庫は値上げ前の安い玉であり、仕入れる玉は値上げされているため運転資金は不足する。そのため、即小売価格に転嫁しないと販売業者が値上げ分を負担することになり逆ザヤとなる。値上げが続いていればよいが、直後に値下がりすると転嫁するタイミングを失うことになり、値上げ分は回収できず赤字となる。
 元売の仕切価格改定は、週決め(週中)で実施、直近の原油価格、業転市況、他社の動向をみて対応しており、コストを回収できる方式が定着している。市況の変動でマージンの増減はあるが、一定のマージンは確保されており、赤字となるケースは解消されている。原油価格が下落したため在庫評価損が発生して赤字となるケースもあるが、週決めによる
新体系を導入してからは、本業の石油事業では黒字となっているため、経営は安定している。
 一方、販売業者は、依然としてコストが転嫁できずに赤字経営が続いている。その結果、撤退するSSが後を絶たず、年間で約2000ヵ所のSSが減少している。ガソリン需要が減少していることもあるが、採算販売に徹してマージンが確保できる体制をつくる時期にきている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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