日刊ニュース

2012.11.30 のニュース

中核SSの選定、石商が作業 ―消防署管内に1ヶ所の割合にー

 災害時におけるガソリンなどの石油製品を安定供給する中核SSの認定作業が各地域の石油商業組合(石商)で行なわれている。この中核SS構想は、東日本大震災を機に、災
害時の石油製品の安定供給が重要であると認識されたことを背景に定められたものである。
 経済産業省では、製油所・油糟所の強化策、地域における中核的供給拠点(中核SS・小口配送拠点)づくりに取り組むことになった。精製段階での出荷機能の強化、石油基地
における大規模災害に備えた耐震・津波対策の実施、ローリー輸送の強化、SSまでのサプライチェーンの維持・強化に対して、施策を打ち出し予算措置を講じている。
 その中で中核SSの整備予算は、平成24年度予算で56・7億円を確保しており、1県当たり約40~50SS(東京は60~80SS)を目安として、各県ごとの状況(人口、面積、地理)を踏まえて整備することになった。中核SSの要件としては、①
高速道路のサービスエリアにあるSS、②警察、消防署から概ね半径1KM以内にあり、ガソリンタンクが30KL以上かつ4レーン(同時給油が4台)以上のSS、③前述②の基準を満たすSSが1つもない市区町村にあるSS(ガソリンタンクは20KL以上)のうち、災害が発生した場合に、営業を継続することが可能であることをその地域の石商が
確定したもの、としている。ただし②、③においては、中小企業のうち、大企業からの出資が50%以上であり、かつ対象県以外に本社を有する中小企業者を除く。また、大企業者は、対象県、もしくは対象県と生活圏を一体とする隣接市区町村、または被災地域(青森、岩手、宮城、福島。茨城の各県)に本社を有する場合に限るとの条件を求めている。基本的には警察、消防署につき1SSを整備していく方針となっている。
 中核SSとして認定された場合の補助支援策として、最低限導入が求められる設備、①自家用発電設備(6KW以上)、②情報通信機器(衛星電話、パソコンなど新たに設ける通
信手段)、③可搬式ポンプ、④貯水設備、⑤地下・地上タンクの新増設・大型化、について3分の2を補助する。補助上限は、タンクの増設がない場合は500万円で、タンクの増設がある場合は3500万円となる。
 この中核SSの選定は各県石商が実施することになっており、選定基準に沿って候補SSを選定する。また、災害対応ガイドライン(災害時の行動指針)における連絡網への協力を行なうことになっており、改正備蓄法およびガイドラインに基づき、中核SS等からの情報をまとめて、全石連、県庁、地方経済産業局と情報を共有することになる。県庁
は中核SSの選定基準を確認、補助金交付の申請にあたって必要となる推薦状の発出をする。
 災害時における石油製品の安定供給策として、備蓄法の改正も行なわれ、災害時にも備蓄放出が可能となった。また、国家備蓄は、大部分が原油であったが、石油製品備蓄を拡充することも定められた。また、備蓄法のなかでは販売業者に対しても、SSの給油に係る設備の状況を届けることが義務つけられた。同時に地域における情報収集の拠点とし
て各石商が明確に位置づけられたことは、販売業界の地位の向上となる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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