日刊ニュース

2012.12.06 のニュース

原発、電力問題は政党間で大差 ―選挙結果を待って新しく審議―

 総選挙は4日に告示され選挙戦に入った。16日に開票結果が出るが、焦点は、①自民・公明党が勝って政権に復帰することができるか、②民主党がどこまで議席を確保できるか、③第3極の勢力がどこまで伸びるか、などがあげられる。世論調査では、自公が勝つと予想されているが、選挙結果次第で、政策の方向性が大きく変わることになる。
 また、選挙中は総合資源エネルギー調査会基本問題委員会でのエネルギー政策の審識が中断する。新政権の発足を待つことになるが、仮に自公政権となれば、これまでの議論は
白紙撤回となる。基本問題である原発政策では、現政府との間に大きな隔たりがあるため、大きく方針転換することが予想されている。
 民主党の原発政策では「2030年にゼロを目指す」としているが、原子力規制委員会の新基準に沿って、安全が確認できたものは再稼働を認める、建設計画中のものは認める。としており、原発ゼロとは矛盾するとの見方もあるが、核廃棄物問題、国際関係を配慮した対応となっている。また、その他の党からも、即原発廃棄、脱原発、卒原発など、様々な意見が出ている。自民党の公約では「再稼働の可否は、順次判断し、すべての原発は3年以内の結論を目指す。安全性については原子力規制委員会の専門的判断に委ねる」としており、安倍総裁が「軽々しく稼働ゼロとは言わない」と述べていることから、安全性が確認されれば再稼働を容認する方向にある。
 このように原発を巡っては、各党の意見が食い違いをみせており、新政権が発足してみないと、総合エネ調での審議の再開が難しいため、事務局(経済産業省)は、選挙結果待ちの状態となっている。新政権の発足で原発政策の方針が変更されれば、新しい委員による審識が行なわれる。新委員の選任の調整には時間がかかり、また、現在の原発ゼロ派の委員が残るか否かも問題となる。現在でも、原発問題について急いで結論を出すよりも、時間をかけて審議すべきとの意見もあり、先送りとなる公算も出てくる。
 いずれにしても原発の再稼働までには時間がかかるため、当面の電不足はLNG、石油でカバーすることになる。そのためLNG、石油の輸入増で貿易収支が赤字となり、この状況が長期にわたると日本の経済に深刻な影響がでる。LNGの調達価格の引き下げが急務とされており、そのためLNG産消会議を日本で開催したが、商取引きであるため直ちに効果のある決め手がない。
 注目される再生可能エネルギーの導入では、太陽光発電、風力、地熱発電の取組みが活発化しているが、普及まで・に時間と巨額な投資資金が必要となる。太陽光発電は。家庭用には簡単に導入ができるが、安定した電力を確保することは難しい。大型のメガソーラーとなると蓄電、送電線の整備に巨額な資金が必要となる。さらに、天候に大きく影響され、夜間は発電ができないため、供給が不安定である。巨額の資金投入はコスト高となり電力料金の値上がりにつながってくる。
 ここにきて電力料金の値上がりが問題となっているが、今後はさらに値上がりすることになる。政府は申請を受け、厳正に審査することで値上げ幅を抑えるとしている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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