2012.12.07 のニュース
ガソリン微増も値上がりが懸念 ―軽油は軽油乗用車の普及に期待―
石油統計速報によると、10月のガソリン販売は477万KLで前年月に比ベ1.3%の微増、軽油も290万KLで1・1%増となった。4月~10月の累計ではガソリンが横ばい、軽油は2・2%増となっている。軽油販売は、東日本大震災の復興需要によって、被災地での重機の稼働などで増販となっているが、景気回復に至らずトラック輸送量は伸びていない。今後は、景気が回復し、物流が増加しなければ軽油販売は本格的には増加しない。それは軽油需要の大半がトラック輸送によるものだからである。
ここにきて軽油乗用車が新発売となったことで、今後、軽油増販が見込まれそうである。クリーンディーゼル時代が到来するか否かは、もう少し様子を見ることになるが、CMにも登場しており、普及が期待されている。現在、本格的に普及していない要因としては、トラックを連想して環境に悪いイメージが残っていることと、トヨタが開発に積極的で
ないことなどがあげられるが、馬力も強く、燃費も良いためヨーロッパでは広く普及しており、日本でも一般化するかもしれない。そうなれば一気に軽油にシフトする。
ガソリン販売は、省燃費車の普及、人口の減少、若者のクルマ離れなどから減少が見込まれているが、今年度は横ばいで推移しており、まずまずとみるべきである。地域では格差もあるが、エコカー補助金による新車販売の増加が減販傾向を下支えしたようである。新車販売が増加となった割にガソリンが増販となっていないのは、補助金の対象がHV、エコカーとなっており、一台当たりのガソリン消費量が少ないためである。エコカー補助金が打ち切りとなり、その反動で新車販売が減販となったが、自動車メーカーが独自の割引き販売キャンペーンを展開しており、これが功を奏して減少幅が縮小されている。
政府は、自動車産業を部品メーカーまでを含め裾野の広い産業であり、雇用確保に寄与するとみて景気対策で増販を支援、さらに来年度の税制改正で車体課税(重景税、取得税)の廃止を計画している。代替財源が確保できればとの条件つきであるが、その財源としてガソリンなど石油の増税が検討されているため、石油連盟、全石連が増税反対の決起大会を11月14日に共同開催した。今回の総選挙では自民党が政権を奪取すると予想されるが、自民党も石油の増税に賛同する公算が強い。石油業界は、車体課税の廃止について、「減税効果により車の販売が増え、ガソリンの消費増となるため歓迎するが、財源としての石油の増税には絶対に反対である」との立場にある。
すでにガソリン価格は、ガソリン税53円80銭/L、さらに消費税(5%)が課税される税の二重取り構造となっており、税金によって高価格となっている。この高価格を要因として販売数量が低迷している。
現在は、140円前後から145円/L相場へと値上がりとなっているが、ユーザ-が高値とみる限界は150円程度とみられており、150円を超えると減販傾向を示す。ここにきて仕切価格が2週間で3円50銭の値上げに転じたため、末端市況は145円以上となり、150円の高値水準となりつつあることから減販が懸念されている。