日刊ニュース

2012.12.26 のニュース

電力用C重油の大幅減販を予測 -エネ研、原発9基の稼動を見込むー

 日本エネルギー経済研究所は、2013年度の燃料油販売の見通しを発表した。燃料油全体では1億9310万KL(12年度見込みは1億9770万KLで2・3%減を見込んでいる。原発の再稼働9基を見込み、電力用C重油が1780万KLで12・6%の大幅減となるなど、ナフサを除いた全油種がマイナスとなる。
 油種別では、ガソリンが1・5%、灯油が3・6%、軽油が1・4%、A重油が2・2%、BC重油が9・1%の各減少となっている。12年度で復興需要も一巡、燃費の改善、燃料転換、省エネなどで減少する見通しである。この想定は総選挙前に策定したものであり、自民党の圧勝など政治的な要素は考慮していない。
 焦点となる原発は、大飯3・4号機に加え、原子力規制委員会が13年7月に提示すると見込みまれる新基準に合わせて13年度下期から追加的に複数基が稼働するとして、9基の稼働を想定している。稼働が想定される原発を明らかにしていないが、今回の予測では、エネ研として再稼働を織り込んでいるもの。再稼働となると、地元の意向、新政権の自民・公明党の判断も加味されるため、予測は難しい。
 原発政策、エネルギー基本計画の議論は、新政権の発で白紙から再開となる。新政権は原発政策に対して具体策を提示していないため、審議の進め方などはこれから決定する。エネルギー基本計画は、総合資源エネルギー調査会で審議となるが、メンバー構成、検討期間なども見直しされ、早い時期に検討開始となる。
 原発への対応策では、すでに原発ゼロを経験したことで石油火力がフル稼働している。今後はLNG、石炭火力との兼ね合いとなるが、石油がコスト高であるため、仮に原発が稼働するとなると、石油が供給カットされる公算が強い。
 電力用の燃料については、原油の生だきとC重油との選択があり、電力サイドの意向も反映される。C重油の供給も国産か輸入との配分もあり、供給には柔軟性がある。
 12年度は、燃料油全体では1億9770万KLと0.8%増を見込んでおり、電力用C重油は2000万KLで34・3%増となる。他油種はマイナスであるが,電力用C重油の増販で全体を押し上げての0.8%増となる。だが、13年度は、原発の再稼働で電力用C重油が1750万KLの12.6%減となるため、全体では3・3%減となる。
 ちなみに12年度の4月~10月の販売実績では、燃料油計では3%増となっている。油種別では、ガソリンが0.1%増、灯油が4・2%減、軽油が2・2%増、A重油が4・4%減、BC重油が37.2%増となっている。このようにガソリンは減販が見込まれていたが、横ばいで推移している。省燃費車の普及、人口の減少、若者のクルマ離れなどから減販が予測されたが、エコカー補助金の効果で新車が増販となったこともあり、減販に歯止めがかかっている。灯油もマイナス基調であったが、寒波の襲来で11月は約30%増、12月も20%増が見込まれている。灯油は天候次第であり、増販によって在庫が低位で推移しているため需給はタイトとなっている。今後は、新政権の発足で景気回復が見込まれれば、需要減少に歯止めがかかることが期待される。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE