2012.12.27 のニュース
続・越年の課題「公正な取引」
昨年末の本欄で「越年の課題・競争秩序の確立」と題し①系列業転格差問題②差別対価・不当廉売問題の是正を訴えた。だが、その声は収まるどころか、さらに広がってしまった。販売業者の悲鳴が届いていないとは思えない。組織活動を通じて、本紙を通じて、再三にわたって問題提起してきたが、残念ながら善処を得ず。課題は持ち越された。
「コスト競争力を高めるため」、「我がマークの優位性を訴求するため」。元売の言い分はあろう。ローコストを追求する指数経営は、SSの耐久力向上に資するのかもしれない。しかし、販売業者の繁栄とは必ずしも一致しない。経営者と全従業員が事業や作業に費やした努力の成果として、利益が伴わない、従って将来展望を描くことができないからだ。量販店が、自店では絶対不可能な売価をずっと保ち続けられる。しかも同系列。これでは不信が募るばかりである。
エネ庁の自動車ガソリン供給ルート別販売シェアをみると、一般特約店は10年間で1割強ダウンの61%となったが、元売直売はほぼ倍増の20%へと拡大。販売量は一般特約店の2割減に対し、元売直売は1・8倍。シェア移動は明らかで、子会社などの増勢が目立つ。もう1つの視点。商社系特約店のシェアは4%増の15%、販売量は3割増となっているが、そのうち、直営や販売店以外の「その他」シェアが3%から8%、販売量は2・6倍に増えた。また、劣勢となった一般特約店の中でも、「その他」シェアは6%から7%とアップ、販売量は2割弱増加。両特約店ルート内だけでみても、業転玉が15%程度存在するように映る。
業転玉に元売直売を加えた合計市場シェアは、全体の3分の1強を占めることになる。国内小売市場が健全化するか、荒れ果てるかの趨勢は、輸入という時限的手段もないわけではないが、大部分は元売の領域にある、もしくはあったものだ。
大儲けさせてほしいなんて、だれも言っていない。サプライチェーンの最前線を維持するために、再投資可能な適正利益を得たいと願っているだけだ。このまま系列業転格差を放置するなら、我々が生きるために、仕入れを自由化すべきとの声も強まっている。国内各地で大規模災害の懸念が高まっているいまこそ、基幹エネルギーを自負する「石油の力」を貶めるような消耗戦に区切りをつける新年へとつなげてほしい。