2013.01.04 のニュース
永続テーマ・信頼関係の確立
前号で指摘した「公正な取引環境の早期実現」は、中小SSが同じ土俵に乗るための最低条件で、勝負はそこから始まる。とにかく合理性を欠く系列内格差、系列業転格差を放置したままで不満が渦巻くブランド料を押し通し、ときに強権発動も辞さないような姿勢は理不尽だ。
公取委は04年のガソリン流通実態報告書で商標権の恣意的な行使などを牽制、翌年にはフォローアップ調査を実施したが、大半は従来の方式やスタンスに問題はないとして変更の必要性を認めなかった。その後、新価格体系の導入を経て取引環境が改善しかけたものの、透明性や公平性は再び退化しているとの見方が大勢だ。今般のガソリン取引実態調査を通じ、改めて問題点が顕在化すれば、過去と同様の対応に終始することは看過できない。全国津々浦々のSS網が健全に維持されることの重要性を多くの教訓から学んだはずだからだ。
他方、中小販売業者にとって、石油製品の構造的な需要減を織り込めば、価格競争とは違うステージで顧客をつなぎとめておく事業形成がより重要になる。適正マージンを貫いてきた組合員氏いわく、廉価な量販店の乱立によって割高感が際立ってしまう歪みに苦言を呈しながらも、「顧客には申し訳ないという思いと、だからこそそれに見合うものをお返ししたい気持ちでずっとやってきた」。共感者も少なくなかろう。年齢的な区切りもあって廃業を決断したが、顧客からは翻意を促されたり、「寂しい」「いままでありがとう」とたくさんの言葉が寄せられて嬉しかったと語り、業界を去っていった。“値ごろ感”は当然大切だが、信頼感には一層の重みがある。
また、都内SSに取材に出て、以前のような年末商戦ラッシュがなくなったという雑談から、3・11の話題へと広がったが、特別の馴染みではなかった顧客が徒歩で現れ、SS前面道路が大変なことになっている様子をみたからと自発的に誘導を手伝ってくれたり、後背地に住む地元客は臨機応変に案内看板を作製してくれたと回顧。信頼関係の強さを物語る証だ。いま、この組合員は中核SS化にも関心を寄せている。
2012年納刊号。深く愛顧されていた中小販売業者が、今年も多数撤退した。これが地域社会にとっての損失と同義であることを広める。阻害要因の排除に向け具体的行動を起こす。我々にはその責務がある。