2013.01.16 のニュース
国内の石油・天然ガス開発で挑戦 輸入比率では僅かだが貴重なエネルギー
天然ガス鉱業会は「我が国の石油・天然ガス」ノートを発刊した。平成23年度の実績を基に、石油・ガス田の生産量、分布図、開発プロジェクト、トピックスなどを網羅している。
国内の原油生産は年間で82万KLで前年比3万KL減となっている。これに対して原油の輸入量は2億0986万KLであるが、原油処理が1億9700万KLとなり約0.4%に相当する。1日あたり55万KLであるため1・5日分を国内生産でカバーしていることになり、国内で消費されている石油製品は、ほとんどが海外からの輸入となっている。国内の燃料油販売量は1億9600万KLとなっており、国産は僅かな数量であるが、貴重なエネルギーとして位置付けられている。
国内生産量82万KLのうち、最も生産量が多い油田は、勇払(石油資源開発)で24万KL、次いで南長岡(国際石油開発帝石)が18万KL、岩船沖(日本海洋石油資源開
発=JPO)が11万KL、由利原石油資源開発)が10万KLとなっており、主な生産地は北海道、秋田、新潟となっている。
天然ガスの生産は、年間で33億立方M(原油換算で333万KL)となっている。最も生産量が多いガス田は、南長岡(国際石油開発帝石)の13億立方M、ついで勇払(石油資源開発)の5億立方M、片貝(石油資源開発)の4億立方Mとなっており、生産地は新潟、北海道と千葉となっている。特長としては、千葉、新潟では主に水溶性ガスが生産されており、付随水(かん水)から薬品り原料となる高付加価値のヨードが生産されている。ヨードの生産は、全国では9450トン(千葉で7200トン、全体の76%を占める)で、世界の生産量2万9050トンの約33%を占め、チリに次ぐ世界第2位の生産量を誇っている。
また、日本への輸入は、LNG(液化天然ガス)として輸入されており、輸入量が約8097万トン(1134億立方M)であるため、国産の比率は3%となっている。LNGの輸入は世界最大規模である。東日本大震災による原発事故の影響で、LNG火力発電が急増。輸入増と、価格の急騰によって、輸入金額は6兆円へと増加、貿易赤字の要因となっている。
このように国内の石油・天然ガスの供給は、ほぼ輸入で賄っており、国内の生産量は、僅かであるが貴重なエネルギーとなっている。国内の生産が維持されていることは、これまでの探鉱・開発の技術の蓄積があってこそ、海外への展開の礎となっている。しかし自主開発比率は20%と低く、40%の目標には及ばない。探鉱から生産までのリードタイムが長く、厳しい条件下での事業となるため巨額な資金が必要であり、リスクが高く、過去には「1000本で成功は3本」と言われたが、現在、技術が進歩しても簡単ではない。
4月からは国の基礎試錐として、新潟の佐渡南西沖「上越海丘」の掘削作業(受託はJX日鉱日石開発)が実施されるが、その成果が期待されている。メタンバイトレートも海
洋生産試験を1月から実施する商業化には時間がかかるが、埋蔵量が多く、開発に成功すれば日本も大産ガス国となる。シェールオイルの開発も、石油資源開発が昨年10月に秋田で実証試験に成功するなど、新しい挑戦に取り組んでいる。