日刊ニュース

2013.01.21 のニュース

再評価すべき老朽SSの足跡

 1995年1月17日、阪神・淡路大震災が発生。首都圏に次ぐ大都市圏のライフラインが寸断された際、石油は供給と物流面で底力を発揮し、唯一のエネルギーとしてその役割を果たした。堅牢頑丈なSSは、内なる備えであったその防火塀が、外からの防火塀の役割を果たし、多くの被災地SSが即時にその機能を回復させた。ここでも最大の役割を果たしたのは、停電の中で奮闘した被災者であるSSマンであった。
 それから15年2ヵ月後に発生した東日本大震災では、より広範なエリアで、より多くの人命が危機にさらされる事態となった。石油とSSが、大災害時にでも機動的に役割を果たせる唯一のエネルギーであり、インフラであることが再証明されたが、この2つの大震災の狭間で実際に起きたことを、いまの日本を担う政権は省みてほしい。
 大震災を経ても、エネルギー政策では地球温暖化対策という冠をいただいて、脱石油が政策的に図られ続けた。石油代替のエースは、東日本大震災前は原子力であり、いまは新エネルギーと天然ガスがその地位を占める。高値であろうが増税であろうが、最終価格に転嫁できる電力や都市ガスが有している力を、石油は与えられていない。
 すでに比類ない重税にある石油に対して、さらにクルマで失う財源、緑化財源を欲する動きがある。灯油で暖をとるしか術がない地方の高齢者から搾り取り、太陽光パネルとエアコンに囲まれて高価なEVを所有する都会の生活者を支援する。その仲介者が政治である。どう弁を弄しても、こうした構図なのだ。
 1960年にガソリン税、軽油引取税が始まり、SSはガソリン税の実質徴収者として53年間で、国に累計88兆円、地方に12兆円の税収をもたらした。その合計はちょうど100兆円になる。軽油を介しても34兆円の税収で地方財政を支えた。
 40年、50年が経過した徴税マシーンであったSSは、堅牢頑丈なゆえ更新するにもコストがかさむ。かつて、そうしたSSへの支援が講じられたが、ある時に政治は、公開の場でそれを「盗人に追い銭」と評した。それまでの支援が終わりを告げてしまった。開業45年でこの2税だけでも平均30億円の税収をもたらしたSS。それが退役しようにも、まだ多くの身銭を切らねばならない状況が生じている。

提供元:全国石油商業組合連合会
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