2013.01.23 のニュース
製油所の再稼動で需給に影響も ―設備処理が進むが一時的には混乱―
石油製品の需給は、厳冬による灯油の増販もあり、タイトな状況で推移しているが、灯油シーズンが終わりに近づいてきたことで、今後は製油所の再稼働による需給緩和が懸念される。近くコスモ石油の千葉製油所が操業再開となる。1月中に一部装置を再稼働、段階的に操業が再開となるが、フル操業は7月頃となる。操業再開となると、自社の生産玉で供給を賄うことになるため、市中買いを停止する。JX日鉱日石エネルギーの水島製油所も立ち上がるため、現状のまま生産を続けると一時的に供給増となる公算も強い。需要調整は、一社のみで対応することはできず、業界全体の問題としてきり組むことが求められる。
需給バランスの崩れを解消するため、高度化法によって過剰設備の処理が実施となっているが、その期限が来年3月末となっている。残る期間はあと1年間であるが、すでに設備処理が進んでいるなか、ここにきて製油所の再稼働による増産で供給増となる懸念がでてきた。
高度化法の狙いは、需要減が今後も続くことになり、過剰設備を処理することで、需給の適正化を図り、適正マージンを確保することを目標としている。建前は白油化に備え重質油分解装置を導入することで、装備率のアップを図るものである。だが、原油価格をみると、重・軽質油の価格差が縮小されており、巨額な投資による重質油分解装置の導入にはメリットがなく、コスト割れとなる。装備率アップが困難なことから、トッパーを削減する方針となっている。すでに昭和シェル石油、出光興産は、先取りして装置を停止、コスモ石油は坂出、JXエネルギーは室蘭のトッパーの廃棄を決めており、残るは東燃ゼネラル石油の方針待ちとなる。来年3月末に各社が設備を処理するため、その後は需給はバランスすることになる。
足元の需給がタイトで推移している要因は、厳冬で灯油が増販となっていることと、電力用C重油の増販が続き、軽油は微増、ガソリンが減販予想されていたものが横ばいで推移しており、4月~11月の燃料油令体の販売では2・3%増となっていることがあげられる。一方、国内産は、製油所の操業停止による減産効果で低在庫となっているため需給がバランスして推移している。だが、灯油シーズンが終了すれば、一気に減販となる。その後は製油所が春の定期修理に入るが、不需要期であるため需給は緩和する。各社とも需要に見合った生産で対応するが、その見通しと違い、減販となると供給過剰となる。
来年度の石油製品の需要の見通しは難しい。燃料油全体でみれば、電力用C重油は原発が再稼働すれば減販となり、稼働しない場合でも増販が一巡しており微増にとどまる。さらに、ガソリン、中間留分は減少が見込まれている。また、東日本大震災以降、石油製品の需要見通しを策定していないこともあり、各社の目通しにバラツキが生じることで供給増となる要因は残る。
安倍政権が実施する景気対策によって増販が期待されるが、直ちに効果は出ることはない。円安、株価上昇で明るい見通しが出ているが、石油製品の増販を期待することは難しく、基調としては減販が続くとみるべきである。