2013.02.07 のニュース
円安値上げ、販売業者は苦戦 ―元売は在庫評価益を期待もー
為替が昨年10月~12月の80円/ドルから足元は92円と12円の円安になっており、加えて原油価格も値上がりしているためコスト増となってきた。ここにきて、円安による仕切価格の値上げが実施されている。安倍政権が円高、デフレからの脱却を提唱した経済政策によって円安、株高に転じてきた。円安はガソリンなど石油製品の仕切価格の値上げに影響している。
仕切価格は12月~1月には平均で約5円の値上がり、2月も2日から2円強の連続値上がりとなっている。このため、販売業者はユーザー転嫁に取り込んでいるが、円安値上げであるため、説得力を欠き苦戦している。値上げに対してはユーザーの反発を受けるが、原油価格の値上がりに対してのユーザー転嫁は、コスト増が明確であるため説明がつく。しかし、為替の円安は単に為替相場の変動であり、石油製品の値上がりに連動することはユーザーも認識していないため、理解を得ることは難しい。為替相場による経済への影響が認識されていないようである。
SS店頭での現金売りのガソリン、軽油、灯油などは、販売価格を表示をしているためこの価格を改定すればよいが、周辺SSの動向によって牽制が続くと転嫁の時期が遅れて、仕切価格の値上げ分を販売業者が負担することになる。また、掛売では毎週価格が改定され、決済が、20日締め、月末締めと決済日が違うことと、価格改定日が土曜日であるため、仕入日とローリーでの納入日との間で2円~3円も価格差が発生するケースもあり、大口となると月決めの決済で大損するケースも出てくる。値決め方式は、個々のユーザーと相談して決めるが、連続して値上がりしている局面では値上げが遅れ、未遂分を回収しようとする時期には値下がりとなり、販売業者の収益が圧迫される。
灯油はシーズン入りを機に大きく値上がりして、短期間にガソリン価格を上回り独歩高となった。先物、業転市況も先行して値上がりとなり、低在庫で推移したことによって値上げは浸透したが、これからシーズン終了を迎えるにあたり、円安値上げとなるためユーザー説得に苦慮することになる。
一方、元売サイドは、仕切値上げに取り組んでいるが、販売業者と同様に価格への転嫁が遅れることから未遂分を残すことなり、コスト増で赤字となる。だが、円安によるコスト増の場合、手持ち在庫分が値上がりしたことになり在庫評価益が発生する。そのため決算の数字上では増益となり黒字となる。4月~12月期決算では在庫評価損を計上しているが、1月~3月の為替が、現在の水準である90円台で推移すれば、在庫評価益が発生する。今後ざらに円安が進むとの見通しもあり、在庫評価益が見込まれている。決算で黒字であっても在庫評価益を相殺すると赤字となるケースも予想されるが、元売としては黒字決算を望んでおり、数字上、黒字にすることが最優先となる。コスト増の転嫁という問題を残すが、円安、原油価格の値上がりを歓迎するムードとなっている。
だが、販売業者サイドはコスト増の転嫁によって適正マージンを継続的に確保しなければ、いつまでも赤字体質が改善されないため、円安値上げの転嫁を完達する必要がある。