日刊ニュース

2010.06.22 のニュース

論説 いま一度の「1円」の重み

月販50KLSSのリットル1円は、月5万円。年間では60万円。地下タンクの形状や容量で異なるが、1円を丸2年間積み上げ続けると120万円となり、ちょうど老朽地下タンク1基のFRP補強費用が捻出できる。
 ほぼ全元売が週決め仕切りの設計を変更するとともに、その根本思想をも変化させた。全石連総会でも、元売幹部を横目に「元売は自分たちだけが損しない仕組みを強要した」という、いくばくか怨磋の念がこもった発言を耳にしたが、自らの経営については、元売の方針に関係なく、自身の努力をお客様のために、社員のために、家族のために最大限、惜しまないことが求められる。
 ほぼ合理化の余地がなくなった多くのSSが、さらに1円多くの収益を上げる術は、現状よりも売値を高くするか、仕入れ値を安くするかの二手。過去には油外増、数量増など、少なくとも四手あったが、コア・ビジネスの燃料油で収益増を図るのが本筋である。元売がミスリードしたとはいえ、ボーナスである油外を本給に据えたことも、我々が犯した大きな間違いのひとつなのである。
 数量を増やす方法が通用した時代は去った。割安な価格を武器にする薄利廉売は中小SSの生きる道ではない。こんな時代に数量を深追いすれば、よほどの資力がない限り、それは長続きはしない。ごく短期間に安値のみを理由に集めた顧客=数量は、資力のあるものが同一手法に舵を切った瞬間に、保持が困難となり消耗戦に入るのだから。地球環境対応、地下で膨らみ続けているリスク対応、設備更新、新ピジネスモデル対応など、近い将来に必要な資金が確保できないのは自明の理だ。
 元売の採算のみを確保する手法に、アレルギーは残るが、それでも海外での資源競争で伍していく体質を確保する、製油所の統廃合・高度化リストラ費用を捻出する、さらに世界標準での企業価値最大化にまい進する、という、実は我々SSよりも、はるかに大きな経営問題を踏まえて、収益を確保するという決意を固めた事実は、傾聴に値する。この手法は、需給をバランスさせるということがなければ早晩、画餅に終わるだろうから、実行力も必要だ。
 元売が自己中心主義で収益を舵を切ったなら、我々も、残された二手の方法で収益を再構築する道に踏み出そう。2年とされる猶予期間は、瞬時に迫ってくる。

提供元:全国石油商業組合連合会
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