日刊ニュース

2013.03.01 のニュース

設備処理後の供給確保策 ―石油製品の融通取引で対応―

 JX日鉱日石エネルギーと出光興産は26日、石油製品の相互供給取引きで基本合意に達したと発表した。高度化法に基づきJXエネルギーは室蘭製油所のトッパー(18万バーレル/日)を、出光は徳山製油所のトッパー(12万バーレル/日)をそれぞれ廃棄するが、それによって生じる石油製品の供給不足を補完するため、年間230万KL(4万バーレル/日)を同量の等価で融通することになったものである。
 JXエネルギーの北海道地区には出光の北海道製油所から、出光の西日本地区にはJXエネルギーの大分製油所から製品の供給をそれぞれ受けることになる。
 この合意によって、両社とも地域の販売シェアを維持しながら安定供給が確保されることになる。すでに1996年から物流提携を実施しており、現在、全国で融通を行なっているものを拡大することになる。
 両製油所は、来年3月末に原油処理を停止、油糟所機能を残し、化学工場に特化して操業を継続する。そのため雇用は確保され、設備処理による合理化が進むことになる。
 高度化法に基づく各社の設備処理計画は、ほぼ出揃った。目的は、需要減と白油化に対応して重質油分解装置の装備比率を向上させることで、海外の製油所との競争力の強化を図るものである。輸入が自由化されているため、競争力のない製油所を処理し、強靭な製油所を残すことで体質の強化を狙ったものである。
 現在のトッパー能力は約448万バーレル/日あるが、ここから約55万バーレル/日が処理されると393万バーレル/日となる。原油処理が330万/日とみると稼働率は84%(現在は74%程度)にアップする。
 設備処理により、災害発生時の供給不安を懸念する意見もあるが、法律によって義務付けられており、違反した場合、罰金が課せられ、社会的な制裁を被る。石油業界にとっては厳しい措置となるが、期限が来年3月末となっていることから各社の処理計画が出揃った。一部計画では目標に未遠のため、設備の処理、重質油分解装置の増強が必要となるが、近く対応することになる。
 設備処理での問題点は、雇用と地元対策となり、社員は配置転換などで対応が可能となるが、地元の協力会社、地域経済への影響が大きいため簡単には設備を処理できず、地元の理解を得るための対応策を提示する必要がある。
 さらに、設備処理後の供給体制の構築が求められるが、これは各社間の協調がカギとなる。石油各社が協調することで、価格協定など、独占禁止法に抵触する懸念もあるが、地域への安定供給を優先するため、すでに各社間での製品の融通を行なっている。
 規制時代には、生産枠、SS数の維持が各社のシェアを決める生命線であり、系列販売を重視して他社の製品を扱うことを避けていた。自社製品を専門的に販売する系列を強化することで、市場シェアの拡大を図っていた。しかし、平成8年4月からの規制緩和、その後の自由化の進展、需要の減少、輸送の合理化によるコスト削減を優先して融通が行なわれている。さらに業転玉の容認、先物市場の開設となり、取引きの自由化が浸透しているため、供給面での問題はない。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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