日刊ニュース

2013.03.12 のニュース

まだ途上の仲間に向けて

SSとは一体なんなのだろう。地域の生活者や行政・政治から、地域のエネルギーを担う拠点として再評価され、必要不可欠な施設として多くの理解と支援を得る存在となった。その半面、小売市場におけるSSは、こうした外側の評価とは別世界のような消耗戦、内戦を繰り広げている。
 外側から極めて高い評価を得る施設と機能。そのハードを支える地域に根差したスタッフの底力。最強の商品力を有するガソリンや灯油。
 需給が緩い。大きな卸格差がある。複数の量販SSによる廉売合戦が収まらない。こうした内部要因に理由を求めて、内戦を繰り広げる意味とはなんなのだろう。数量を得ることで低粗利競争を続けた先に、かろうじて「勝ち残ったSS」があったとしても、それが健全な姿を保っているのだろうか。
 「必要不可欠」と評価されたガソリンや灯油を、常時バーゲン品と化した結末は、競合エネルギーに利することにならないか。安定供給で「大きな底力」を発揮したスタッフは、そこにまだいるのだろうか。地域の生活者や行政・政治から強く支持された「地域密着型SS」は、その経営を保持できているのだろうか。
 被災地SSの視点で見た3・11からの丸2年。三陸沿岸では高台移転など、被災SSのリニューアルの報が届き始めているが、移転先の制約で、事業再開の目途が立たないケースも多いという。なんとか再開にこぎつけたSSも、復興需要という特需はあっても従前の馴染み客の数は激減したままだという。また、再開したSSの多くは、災害対応設備として自家発電機、受水槽に加えて、太陽光発電設備を設置したり、事務棟屋上に避難所を設置するなどの対策を施してもいる。
 一方で福島原発の周辺SSは、復興の文字が遠くに霞んだ状態で今日を迎えた。30㌔圏内にあった50SSのうち、30SSが休止したままという。再開したSSも人口激減の中で、悪戦苦闘しながら地域のエネルギーを担う任を果たそうとしている。
 再開したくともできない仲間、再開しても経営環境が激変した仲間がいる。3・11直後に起こったことを想起しつつ、内戦のような価格競争に明け暮れる激戦地のSS。それを助長するかのような元売や商社の政策。腹八分目で納得し、自省し、自重することの先にしか、健全なSSの姿はないのではないか。

提供元:全国石油商業組合連合会
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