日刊ニュース

2013.03.13 のニュース

灯油の高値問題は解消へ -シーズン終了で仕切値下げ-

関東地区の気温が上昇しており、灯油シーズンも終わりに近づいた。9日からの仕切価格の改定もガソリンは、据え置きとなったが、灯油は2円/㍑以上の値下げとなり「ガソリン高の灯油安」の体系となってきた。この結果、灯油の高値問題も解消の方向となる。一方、供給問題となっている過疎化対策は来シーズンまで持ち越しとなる。
 灯油需給は、例年3月に入ると暖房用灯油の販売が一気に減少する。このため、元売、販売業者ともに在庫調整の時期となる。
 2月販売は、冷え込みが厳しく好調であったが、3月になると連続して冷え込むことはなく、今後は日々気温が上昇するため灯油ストーブの使用は減少する。そのため、販売業者は、売り残しの在庫を持つと損失となるため、気温をみながら在庫を減らすことになるが、在庫調整による売り急ぎから安値が出回ることも予想される。また、大口のユーザーや公共施設は、緊急時に備えて灯油在庫を常備すべきと要請されているが、コストがかかり予算措置も必要となるため簡単にはいかない。
 今シーズンは、東日本大震災を機に灯油の需要回復を図るため、元売も増販キャンペーンを実施している。だが、電気、ガスヘの燃料転換が進んでおり、大幅増販は期待できないようである。販売数量を見ると昨年11月は202万㌔㍑で23%増、12月が339万㌔㍑で4・7%増、今年1月が329万㌔㍑で1・3%増となった。東日本以西を中心に冷え込んだこともあり、前年に比べると増販となっているが、新規需要の開拓が難しいため減販傾向となっている。
 しかし、今シーズンの灯油の需給は、低在庫で推移したため、シーズン入りから値上がりが続き、末端市況は高値となった。SS店頭は100円/㍑、配達は110円相場となったことで、値取りもできており、マージンは確保されている。また、目玉商品扱いの安値販売は姿を消した。東日本大震災の影響から、灯油の扱いも変化しており、販売業者も採算販売に取り組んだ結果である。
 灯油の販売価格は、原油価格の値上がりと、円安により高値感が出ているが、シーズンも終わりに近づいたこともあり、価格問題は解消されたようである。一時は、ガソリン、灯油、軽油の値上がりが、国会で論議となりそうであったため、資源エネルギー庁が元売各社に対しヒアリングを行なうに至ったが、原油価格も値下がり基調にあり、高値問題は解消されつつある。だが、現在96円/㌦と円安が進行していることから、再度、価格問題が浮上する懸念もあり注意が必要となる。
 一方、灯油の供給問題は、過疎地で深刻化しており、SSの減少が加速していることで、灯油の安定供給への懸念が指摘されている。これは消防法の規制によりSSの老朽化タンクの補強が義務づけられ、その期限が来年3月末となっていることで、廃棄、撤退する販売業者が増加していることが要因となっている。だが、供給問題にっいて対策が取られず、来シーズン以降に問題が先送りされたことから、今後、社会問題化するのは必至である。SSの減少により、民間での供給確保がすでに限界となっていることから、地元の町村などの支援策が必要となってくる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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