2013.03.18 のニュース
ガソリン市況は値下がりへ -一服状態で高値問題は解消か-
みずほ総合研究所の週動向調査(11日)によると、ガソリン価格は155円80銭/㍑となり前週に比べると40銭の値下がり、軽油も135円20銭で30銭の値下がりとなり、14週ぶりの値下がりとなった。灯油はSS店頭で100円80銭で50銭の値下がりとなった。灯油の場合は、前週から値下がりしているため、2週連続の値下がりである。
原油価格の小幅な下落、為替の円安が一服状態となったことを受けて、仕切価格が2日から値下げ(9日は据え置き)となったことを反映したもので、僅か30銭~50銭の値下げであるが、連続して値上げしていたものが、ここで値下げに転じたことで流れが変わってきた。
ガソリンは、四捨五入すると156円の横ばいとなるが、値上がりの勢いが止まったことになる。ガソリン、軽油、灯油の高値が国会で議論されるのではないかと予想されたが、避けられそうである。ガソリンは昨年3月には158円(最高値は2008年8月の185円)の高値を記録しており、当時は160円を越えた場合、ガソリン税を引き下げるトリガー条項もあり、この条項を適用するか否か議論となったが、当時の民主党政権は財源不足を理由に発動せず、今回も、政府はトリガー条項は発動しない方針を伝えている。そのためガソリンの値上がりについては、資源エネルギー庁は、市況実態を注視して、元売にも便乗値上げがないよう要請することで対応している。
運送業、農業、魚業関係者から軽油、A重油の値上がり、消費者団体から灯油の値上がりに関して、助成策の要請が出ているが、高値に対して国などが介入する動きは出ていない。石油製品の値上がりは、原油価格の高騰と為替の円安によるコスト増が要因となっている。現在、原油価格は安定しているが、為替が再び円安に転じているため、今後の値動きは流動的となっている。
原油価格については、高騰して石油製品が高値となれば、需要が落ち込むため原油の輸入が減少し、価格は値下がりするという経済原則が働くこととなる。だが、現在の原油価格は金融商品として先物市場で決まるため、石油製品の需給とは関係なく価格が決定しており、経済原則は通用しなくなっている。もちろん世界の石油製品の需給(新興国の需要増大など)、中東、アフリカの地政学的リスク、先進国の経済成長なども反映されるが、資金運用など金融商品としての側面が強く、見通しは難しくなっている。
また、為替が円安で推移しているため、円建てで決済される原油価格は値上がりとなっている。ここにきて、再び96円/㌦と円安となってきたが、円安による、ガソリンなど石油製品の値上がりとなっているため、ユーザーに説明しても理解を得ることは難しい。原油価格が値上がりする場合は、地政学的リスクや供給不安などの要因がマスコミで伝えられるため、ユーザーもニュースなどで事前に理解しており説得し易い。しかし、為替の円安が要因となると、毎日の相場変動が価格に反映されることがユーザーには理解し難いようである。とくに、為替相場に無関心なユーザーにおいては、円安による石油製品の値上げに対して、反発が出る現状である。