日刊ニュース

2013.05.08 のニュース

元売は系列SSをどうするのか

 精製・元売各社は昭和40年代、モータリゼーションの急速な進展を視野に、各地で有力特約店を開拓し、それらの特約店の力を借りて販売店を含めた網の目のような供給ルートを構築した。元売・特約店・販売店という強力な系列ネットワークは、製油所の効率的な稼働によって生産した石油製品を、全国各地でより多く供給するために必要不可欠だった。
 そのころ、元売は特約店との関係を「親と子の関係」「元売と販売は車の両輪」などと呼び、系列という絆で固く結ばれた両者は、収益配分についても、ともに再投資できるような状況を作り上げていた。特約店が地域で直営SSを増やし販売店網を拡大、元売もその拡大する供給ルート向けに生産を増やした。そういう時代でもあった。
 それから半世紀、時代は変わったが特約店制度は残っている。しかし、市場ではPB安値量販店が林立し、系列特約店の「仕切価格」並みの「小売価格」で市場を席巻している。
 当初、これらの量販店は創業した地域での限定的な暴れ方だったが、次第に全国規模で店舗網を拡大。市場から撤退した地域SSを廉価で買い取り、いきなりその地域のプライスカッターとして躍り出て顧客を奪い取るという手法を繰り出す。いま、全国でその嵐が吹き荒れている。
 もう一つ変わったのは元売と特約店の資本関係である。特約店の事業拡大を支援するために元売が資本を入れるケースや、土地や建物を元売が所有し特約店に貸与するリースSSがみられるようになり、さらには、元売が100%出資する販売子会社が、瞬く間に全国ネットワークを形成した。
 その販売子会社が前述のPB安値量販店と廉売力を競っている。PBの安値に元売子会社のSSが即座に追随しているのに対し、周辺の特約店は系列仕切価格では太刀打ちできず、その競争に取り残されている。PBのように業転玉を仕入れられない系列特約店をしり目に、販売子会社はすぐに廉売で対抗している。
 PBが販売している安値玉は元売が生産したものであり、それに元売子会社が追随し系列特約店を追い詰めている。こんな構図はわかりきっているはずなのに、元売が改善に動く気配はない。元売各社は系列SSを今後どうするつもりなのか、取引を続けてきたパートナーとしてその疑問に正面から答えるべきである。

提供元:全国石油商業組合連合会
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