日刊ニュース

2013.05.16 のニュース

販売減での需給適正化を重点に-設備処理後は海外展開ヘ-

 エネルギー高度化法により、来年3月末を目標に設備処理が進んでいるが、今後も需要減が続くことが予想されることから、当面の需給対策が焦点となる。現在は定期修理時期にあるが、これから定期修理明けとなり、停止していた製油所が再開となるため、一気に増産となることから、需給バランスの崩れも懸念される。
 設備処理が最後の仕上げの段階に入ったことで、増産対応はないとみられているが、需要が大きく落ち込むと、今年の下期には供給増となることが懸念されている。足元の需給も緩和気味で推移しており、設備処理が終了した来年4月以降に実際に需給が締まるのか、懐疑的な意見も聴かれる。
 設備処理はトッパーが対象となるが、一方では白油化を誘導するため二次設備(重質油分解装置)が増強されており、これがフル稼働した場合、ガソリン、中間留分か増産されるため供給増となり、需給バランスを崩すことになる。トッパーの能力が削減されれば、石油製品の需給が締まるが、供給増となる懸念が完全に払拭されるわけではない。
 設備処理は、石油業界の大きなテーマであり、石油ショック後の供給増の解消を図るために取り組まれている。過去においては、行政指導で設備の削減を実施してきたが、今回は法律で実施されるため公正に行なわれる。しかし、トッパーの削減もしくは分解装置増強どちらかの選択となっており、分解装置の増強によって、ガソリン、中間留分は供給余力を持つことになる。
 トッパー能力は、ピーク時600万バーレル/日であったが、現在は447万バーレル/日となっている。今回の設備処理が行なわれれば約390万バーレル/曰に削減される。現在も生産平均で340万バーレル/日(ピーク時では370万/バーレル)であるため、設備処理されれば、稼働率の平均は現在の76%から約90%にアップすることになり、効率化が進む。
 エネルギー高度化法による設備処理は、国際競争力をもった、強靭な石油産業の醸成を目標にしており、設備処理が終わった時点で、一段落となる。だが、今後も国内の需要が減少を続けるため、次の対策が求められる。海外に供給先を求めることになれば石油製品の輸出の拡大となる。アジア地域では需要の拡大が見込まれており、これを取り込んでの輸出の拡大を戦略としてチャンスを狙っているが、日本の製油所はコス卜競争力が弱い。規模の面から劣り不利な状況にある。
 輸出を可能にするための桟橋の拡充、出荷設備、輸出用のタンクの整備を推進しているが、海外市況が下落して国内市況との間で逆ザヤとなれば、赤字となる。そのため設備を拡充しても採算に乗らず、商機を見つけるのは難しい。また、海外市況がポイントとなるが、逆に海外市況が下落すると日本に輸入されることになるため輸出拡大は見込めない。
 国内の需給が締まり、市況が値上がりすると輸入が増加、結果的には国内市況も国際価格と連動して値下がりする。このように、石油業界は大きな利益の確保が構造的に難しくなっている。そのため海外に製油所、石油化学工場、潤滑油工場を建設して進出する計画が進んでいるが、これから本格的に取り組み、その成果がでるのは数年先となる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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