日刊ニュース

2013.06.11 のニュース

気を引き締め、値を引き締める

 国内の石油製品卸市場に、心理的な引き締まりのトレンドが生じてきた。6月入りと同時に、意を決したような卸市況の底上げを発した元売だが、ここに予想外の展開が加わった。円高による円建ての原油コストの大幅下落である。
 気合を入れて卸市況を底上げしようとした際に、その大本のコストである原油価格が軟化し、水面下深く沈んでいた元売の精製粗利は急浮上する展開となった。これへの対応によって、元売の本気度が図れるから、SS小売業としては、その素行を注意深く見ていきたい。
 卸高、原油安という構図では、瞬間風速的に、元売の粗利が極大化するから、万々歳だ。
 原油コストが急落に向かう局面で、高値原油で製品化した在庫が大量に残る。手元の高値在庫を早急に処分しないと、その評価損が膨らみ大ピンチだ。
 同じ事象でも180度、方向性が異なる評価と行動となる。また、製造・出荷というポジションにいる者と、仕入・転売にいるポジションにいる者とでは、損と益が二律背反となる。内需不振、高い在庫水準、先安見通し。この3点が揃ってしまっている現在。多量の在庫を抱えてしまっている私は、なんとしてもいち早く売り切りたい。これが一般的な商流だ。この局面を、元売はどう凌ぐのだろうか。
 今日よりも明日に、より割安になっていく見通しが示された際に、通常なら、仕入れは明日にする。これが一般的な商売のあり方だ。しかも国家備蓄を除けば、国内で最大の在庫を有する事業者は間違いなく元売だ。ただし大企業であるだけに、原油安という在庫損への耐久力も格段に強いと信じたい。
 元売の6月行動は、明らかに底割れ市況に陥った卸市場への仕切り直しが本筋だったのだろうが、その意が実現すると、自民党議連の業転問題PTの本命である大きな卸価格差問題の矛先は、多少は和らぐ。急速な円高・原油安という風を、破廉恥な値決めの業転玉を大量放出することによって、そのまま逆風としてしまうのか、それとも自らの収益を回復させながら、業転と系列の格差を極小化することで、それを追い風へと転換するのか。
 先週末に2ヵ月ぶりの円高となり円建て原油は1ヵ月ぶり安値を付けた。卸値上げに直面したSSも、元売同様に鼎の軽重が問われる。

提供元:全国石油商業組合連合会
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