2013.06.18 のニュース
需要見通し 備蓄基準の資料に 各社の長期戦略を束縛せず
総合資源エネルギー調査会石油分科会・石油市場動向調査委員会(委員長は橘川一橋大学教授)は12日に開催され、平成25年度~29年度の石油製品需要見通しを策定した。この見通しは、あくまでも備蓄法に基づく基準備蓄量を算出する資料となるものである。向こう5年間の需要数量見通しが提示されたことで、需要減少が明確となった。そのため過剰設備が指摘されることになるが、設備処理問題に活用されることはない。過去の規制時代には石油業法に基づいての見通しであり、安定供給、設備の増強を施すための資料であったが、当時の扱いと比べると大きな違いとなる。
橘川委員長は「備蓄基準を決めるための見通しであり、上部組織の石油分科会に上程する。この見通しは国内需要の予測値であり、独り歩きすることはない。各社の長期戦略への活用、製品の輸出、輸入での対応も可能であるため、自主的な活動が求められる」と述べている。
今回は、電力の供給計画が原発の再稼働に絡み未定であるため、電力用C重油を除いた数字を算出している。燃料油計では24年度実績が1億7791万キロリットルであり、29年度見通しが1億6217万キロリットルとなるため、5年間で1573万キロリットルの需要減少となる。この5年間の年度平均伸び率は1.8%減、全体では8.8%の減少となる。
因みに電力用C重油を加えた見通しとしては、24年度は実績値1962万キロリットルを加算すると燃料油計が1億9752万キロリットルとなっているが、29年度でも24年度と同数の1962万キロリットルと想定して加算すると1億8179万キロリットルとなる。5年間の年度平均伸び率は1.6%減、全体では8.0%減となる。
油種別にみると、ガソリンは25年度が558万キロリットルで前年比で1.0%減、29年度は5171万キロリットルとなり年度平均伸び率は1.7%減、5年間の全体では8.4%減(474万キロリットル減)となる。灯油は、1849万キロリットルで前年比で2.7%減、29年度が1614万キロリットルとなり年度平均伸び率は3.5%減、全体では14.9%の大幅減となる。軽油は25年度が3312万キロリットルで前年比で1.0%減、年度平均伸び率は1.1%減で全体では5.4%減(261万キロリットル減)となる。
この需要見通しについての質疑応答では「価格の変動(値上がり)について織り込んでいるのか?消費税と増税を考慮しているのか?」との委員からの質問に対し、橘川委員長は「価格変動の要因は、従来から考慮していない」と回答、「ガソリン需要見通しにはEV、燃料電池車の普及は、どの程度織り込んでいるのか?」との事務局からの質問には「両車輛とも本格的な普及に至っていないためカウントしていない。ハイブリッド車は年間60万台の普及を見込んで、織り込んでいる」と答えた。
また、軽油の見通しについて「24年度までは復興需要で増加となったが、25年度以降はその反動でマイナスとなる。その後も物流合理化の進展によって減少していく」と説明した。