2013.06.20 のニュース
安定供給の原点はSS数維持
先週、政府が新たな成長戦略「日本再興戦略」および「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる骨太方針を策定した。為替や株式市場における評価はさておき、エネルギー政策の動向が経済・社会により大きな影響を与える昨今、我が業界に深く関わる記述を拾ってみる。
まず成長戦略。「環境・エネルギー制約の克服」を図るべく、年内を目途に新たなエネルギー基本計画を策定し、11月の国連地球温暖化防止会議・COP19までに、CO225%削減目標をゼロベースで見直す。また、石油・LPガスのサプライチェーン維持・強化による安定供給確保を図りつつ、次世代車については2030年までに新車販売比率の5~7割とすることを目指し、充電インフラ整備や車両購入補助、水素インフラ導入支援、家庭用燃料電池についても30年までに全世帯の1割相当へ普及させる方針を掲げた。
一方、骨太方針では「自由で公正な競争」のうえで資源・エネルギーなどの経済安全保障が確保されている社会の姿を目指す。また、安価で安定的なエネルギーを環境に配慮しながら確保し、石油・LPガスサプライチェーンの維持・強化を促進する。地球環境への貢献として、新たな温暖化ガス削減目標を策定するまでの間も京都議定書目標達成計画と同等以上の取り組みを行う。
石油業界が二律背反の課題に直面していることが一層明確になった。現エネ基本計画は、全需13%削減を前提に、1次エネに占める比率を07年度実績→30年推計で石油39%→27%、LPガス3→3%、天然ガス19→16%、石炭23→17%、原子力10→24%、再生可能エネルギー等6→13%。新計画策定に当たり、机上の論理で石油を軽んじてはならない。身近な燃料油の不足が与えた現実を忘れてはいけない。ここ20年来の産業空洞化が指摘されるが、消費者が日常使用するインフラの空洞化も、もっと問題視してほしい。
石油サプライチェーン維持・強化のためには、一定量の需要維持が必要だ。それと同時に、石油の利用に不便をきたさないだけの販売業者・SS数の確保が不可欠。「SSを公共インフラと位置付け、新たなエネ基本計画に盛り込む」。自民党石油議連による提起は、日本と国民のために資する。精と精、精と販、販と販が相互の理解を深め、皆で石油の力を高めるべき時である。