2013.06.21 のニュース
遅れたが需給調整の時期に-夏場の増販、市況立て直しに期待-
石油各社の4月~6月の業績は、需給緩和で市況が下落したため赤字が見込まれている。石油は市況商品のため、需給が緩和すれば価格が下落するが、一度値下がり局面となると下げ止めることは難しい。結果的には需給が調整されるまで待つしか方策はないが、製油所の定期修理による減産の効果が波及してきたことから、ここにきて反転となりそうである。今回、需給調整が遅れたが、ようやく市況が立て直しの時期となる。ガソリンは、これから夏場の需要期に入るためV字型の反転に期待がかけられるが、猛暑による増販と、需要に見合った生産による需給バランスの確保が重要となる。
これまでの需給のバランスの崩れは、ガソリン販売が1月~3月で前年比約5%減、灯油も10%減、燃料油計では4%減と予想外の減販となったことが要因である。だが、4月販売ではガソリンが0.5%増となり、燃料油計では1.0%減、5月のガソリン販売は2%増など需要回復の兆しをみせている。
一方、原油処理は1月~2月では前年の横ばい、3月は2.7%減、4月は1.6%減となっており、燃料油の生産は微減で対応している。だが、小幅な減産にとどまり、それ以上の減販となったことから供給増となった。昨年1月~12月の1年間でみると燃料油は3.5%増、ガソリンは0.5%の微増で推移しており好調であったが、今年1月~3月で減販となり、様相が変わった。前年が閏年であったため販売日数が1日多いこともあったが、これを相殺した上でも落ち込みは大きく、供給増となり、市況下落に打つ手がない状況となっていた。
本来ならば、4月~6月が製油所の定期修理時期であるため需給が調整されるが、今年は定期修理時期にもかかわず供給増となっている。また、定期修理をしない生産中の設備はフル稼働で対応するため、供給余力が生じるなど、各社間でバラツキが生じ、需給バランスが崩れることとなった。さらに停止していた製油所も稼働することになり、これまで市中買いしていた元売も市中買いを停止することになった。そのため売り玉が市中にあふれることになり、業転市況が急落する結果となった。加えて海外の石油製品が供給増となり海外市況は下落、精製マージンの減少によって輸出も難しくなるなど、マイナス材料が重なった。また、海外安で製品が輸入されたが、国内市況が値下がりしたため逆ザヤとなるケースも出た。
このような需給混乱による市況下落でマージンが減少、その影響は、販売業者の業績悪化に繋がっている。業転市況の下落は、系列仕切価格との価格差を拡大させることになり、安い業転玉を購入するHC、PBSSは、安値での販売を先行させ、シェアを拡大させることとなる。これに対し、系列の量販店、元売の販売子会社は経営体質が強く、安値に追随することができるため、価格競争がエスカレートした。その結果、140円/リットル割れの安値まで値が崩れ、系列仕切価格と同値の販売価格となったことから、マージンが確保できない状況となった。中小の系列販売業者では競争できない価格帯となっているため、早急な需給対策とともに、業転との価格差を是正すべきであるとの要請が強まっている。