日刊ニュース

2013.07.01 のニュース

公取委 業転の購入規制を指摘-今後の元売の対応策に注目-

 公正取引委員会は、ガソリン市場における取引の実態調査(概要)をまとめた。この調査によって、仕切価格設定の説明不足、系列価格と業転との価格差、業転玉の購入・販売の制限など、不適切な点があると指摘しているが、今後の対応は「まずは関係者間(元売と販売業者)での適切な対応を促す必要がある」とコメントしている。
 調査結果によると、元売のガソリン販売数量は年間5184万キロリットルそのうち系列SS向けの販売は全体の80.7%(4183万キロリットル)となる。一方、系列SS以外への販売量は1002万キロリットル(19.3%)となるが、そのうちの46.4%相当の465万キロリットル(元売販売の10%程度)が商社に販売され、業転玉として主にPBSS等で販売されている。元売は系列ルートで販売できない約20%のガソリンを、業転玉として商社などに販売していることになる。
 また、仕切価格の設定について、系列玉では出荷ベースの指標基準価格、物流費、販売関連コスト、インセンティブを代入することで仕切価格を算出しており、このうち物流費、販売関連コスト(ブランド料)は、多くの特約店では開示を受けておらず、特約店向けの仕切価格の最大価格差は6.9円/リットル確認されたとしている。
 さらに、元売は特約店に対して商標使用承諾契約、特約店契約で、自社のガソリンのみを販売することを義務付けているため、他社から購入することができない制限が設けられていることが判明。また、系列仕切価格と業転玉の価格差は平均で3.8円確認されるなど、ガソリン取引の実態が明らかにされた。
 系列外販売である業転玉の出回りが約20%あることは、石油業界では一般的に認識されており、系列価格と業転との価格差も石商の調査などで確認されている数字である。
 これらの調査結果をもとに、公取委がどのような指針を示すかがポイントとなる。今後は、この実態調査の位置付け、販売業者が要望している業転との価格差問題に対して、元売がどのように対応するのか、注目されるところである。販売業界では自民党石油流通問題議員連盟による政治ベースでの働きかけや、資源エネルギー庁、公取委による指導に期待している。
 今回の調査結果のまとめでは、仕切価格の設定に際して十分な情報の開示や交渉が行なわれていない場合がみられ、また、元売が商社に販売し、それが安価な業転玉としてPBSSに供給されている一方で、特約店に業転玉の購入・販売を制限していることが判明、これらの行為は、優越した立場にある元売が一方的に競争上不利な取引条件を課しているおそれがあり、市場における公平な競争環境を整備する観点からみて適切でない、と指摘している。「今後とも、流通実態について注視していくとともに、市場における公正な競争を整備する観点から、まずは関係者での適切な対応を促す必要があると考えられる」と結んでいる。
 安い業転玉の供給、業転購入・販売の制限など、不適切な取引実態が明らかになったわけだが、公取委としてはこれ以上の介入は難しく、この指摘を受けて、元売が公正な取引に改善するための具体的に動きを示すことができるか注目される。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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