日刊ニュース

2013.07.03 のニュース

総合エネ調、審議ひと段落-来年度予算要求の作業ヘ-

 総合資源エネルギー調査会総合部会の第4回会合は、6月27日に開催され、エネルギー基本計画の論点の整理、再生可能エネルギーの拡大策、燃料電池の利用拡大など消費段階における論点を審議した。今回、議論の進め方として、「生産・調達」、「流通」、「消費」の3つの切り口に分けて審議しており、これらの論議を一応終えたことになる。ここで参議院選挙(投票7月21日)となるため、次回の審議は選挙後となり、8月に26年度の新政策を決定、予算要求という段取りとなる。
 今回の参院選の結果が注目されるが、自民党、公明党の与党勝利が濃厚であるため、現在の審議が継続されることになる。原発については、政府は原子力規制委員会の基準に適合すれば再稼働を認める方針を明らかしているため「反原発」対「原発推進」という対立軸、電源構成による原発のシェアを巡る長期エネルギー見通しの議論は、先送りとなり、より現実的な短中期の問題を優先して審議することになっている。
 そのためエネルギー政策の基本方針は「国際的な構造変化を踏まえた安全保障の重要性から安価で安定的な生産から流通・消費に至る供給体制の実現を図る」としている。また、現状認識として、原発事故後に顕在化した問題点としては、①原発の停止による電力の供給不足が懸念される(石油・LNG発電の拡大)、②燃料輸入増によるエネルギーコストの上昇、電力料金などの値上げとなる(12年度は燃料費は3.8兆円増、貿易赤字が8.2兆円)、③火力発電が老朽化している(2030年には石炭が約3割、LNGが5割、石油が9割、原発の6割が運転40年を経過する)、④石油・LPGなどのサプライチェーンが脆弱化しており、緊急時の供給体制が課題となる(SS、製油所が減少)、などの点があげられている。
 これらを踏まえて各審議で指論点となったことは、生産段階では、①原発の安全確保、システム改革を踏まえた原子力事業のあり方、②シェールガスなどの新たなエネルギー供給構造の可能性と評価、③メタンバイトレートなどの国内資源開発の促進、④高効率火力発電の導入促進など、流通段階では①電カ・ガスシステム改革に向けた総合的な検討、②送電網、ガスパイプライン網などネットワークの強化、③石油・LPGの強靭なサプライチェーンの構築など、消費段階では、省エネ、コジェネ、燃料電池の利用拡大の促進などとなっている。
 各論点について横断的な課題としては、①国際的なサプライチェーンのあり方、②石油備蓄など緊急時の供給のあり方(国内体制、国際連携)、③安定供給の確保とコスト削減、わが国技術の活用など国際協力の推進、④技術・人材基盤の維持・強化、⑤規制改革・システム改革等による効率的なエネルギー需給構造改革、産業構造改革と新産業創造などが挙げられており、対応策を新政策に織り込んだ上で、予算要求を行なう。
 石油業界に関しては、これまで25年度予算、補正予算で「製油所、油槽所の増強」「中核SSの設置」「LPG充填所の強化」「国による石油製品備蓄の強化」「安価なLNG調達策」など予算措置が講じらているが、26年度予算についても引き続き予算要求を行なう。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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