日刊ニュース

2013.07.05 のニュース

業転問題で新しい秩序を期待-行政支援か、業界内での調整は難航-

 ガソリンの業転問題が、公正取引委員会の取引実態調査の報告を機に再燃している。石油業界では長年にわたって議論となっている問題であるが、個々の商取引きの問題であるため、簡単には解決できない。
 公表された「ガソリン市場における取引実態調査」(概要)では、業転と系列との価格差、系列SSに対する業転玉の購入・販売の制限などの問題が指摘されている。この公取委の問題提起を機に、元売と販売業者間で、どこまで調整ができ、新しい秩序が形成されるか注目される。また、自民党石油流通問題議員連盟や経済産業省の介入による調整、公取委による踏み込んだ方針の打ち出しなども期待される。
 この件について、木村石油連盟会長は「業転問題は、各社が個々に対応すべき問題である」と述べており、石油業界の安定策については「元売、販売業者の双方が利益を分け合うことができるようにすべきである」と加えている。
 業転玉は、元売全体の販売数量のうち約20%あり、系列仕切価格との間に4円~5円/リットルの格差があることが公取委の調査によって実証された。業転玉は自由化を機に、TOCOMの先物市場に上場され、市場が形成されている。週決めの仕切価格の改定時には、業転、先物市況も参考資料として活用されている。
 公取委は、「業転玉」とは「系列ルート以外の流通経路で流通するガソリンをいう」と定義しており、業転ルートとしては、①商社等が元売から仕入れ、他の流通業者やSS等に対して販売するルート、②商社等が輸入し、他の流通業者やSS等に販売するルート、③先物市場を通じて受け渡されたガソリンが流通業者やSS等に販売されるルートなどとしている。元売が商社等を通じて販売しているのが大半であり、輸入、先物取引での数量は少ない。その販売先は他社系列SSや、PBSSとなっている。PBSSは、関東地区
に少なく、関西地区に多いが、これは、関西地区に製油所、油槽所が多く、余剰玉の供給量が多く、安定的に供給が確保されているなどの地域的な特長もあるようである。関東地区は、PBSSは少ないが、HC、量販店が販売数量、販売規模も大きく、安値で販売しており、PBSSが進出する余地がないとの見方もある。
 業転玉は、規制時代から存在しており、製造量と販売量のギャップの調整、元売間の定期修理での融通などで取引きは行なわれていた。少量であり表面化していなかったものが、自由化を機に各社の自主判断による生産に移行したこともあり、業転玉が増加、20%を占める状況となってきた。今年の春先のように販売減のため一気に供給増となった際には、元売の市中買いも停止されたことから業転玉が多く出回り、流通量の30%以上を占めるに至った。そのため、業転市況が急落し、系列との価格差も拡大する結果となった。業転玉の増加によって業転市況が急落、その結果、末端市況が下落となり、マージン減から系列SSの経営難となるため、系列業者から反発が出るのは当然の成り行きである。
 業転市況の下落は元売の4月~6月の業績も悪化させることになるため、元売としても新しい市況対策を打ち出さざるを得ない。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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