2013.07.30 のニュース
仕切値の説明 納得を得るのがカギ-業転ルール策定は難航必至-
公正取引委員会は、「ガソリンの取引に関する調査」の最終報告を発表したが、6月に提示された中間報告に比べると明解な方針を示し、改善策を求めている。
報告では、①仕切価格の設定には情報開示や交渉が行なわれていない、②元売は商社などには安価な業転を販売しているが、特約店の業転の購入・販売を制限していると指摘している。これらの点は、公正な競争環境を整備する観点から不適切であり、そのため「特約店との間で一定のルールを策定する必要がある」との改善策を元売に求めている。元売が、取引上優越的な立場にあることを利用し、不当に特約店に不利益を与えるなど独占禁止法に違反する疑いがある具体的事実が判明した場合は、厳正に対処すると加えている。今後については「事業所管省庁にあっても、ガソリン流通市場における公平な競争環境の整備という観点から、まずは関係者間での適切な対応を促す必要がある」とまとめている。
改善策については、個々の商取引きの問題であるため、話し合いによる調整は難しい。以前から指摘されている問題であるが、今回、公取委が報告書としてまとめ、正式に公表したことにより、元売は公正な対応が求められることになる。
仕切価格の設定は市場連動方式を採用しており、週決めの体系では、製油所出荷ベース価格、物流費、販売関連コスト、インセンティブを加算して算出されている。この値決め方式がスタートした時点では、契約時に個々の特約店に対し説明が行なわれた。その後、新・新体系の導入で2010年から販売関連コストとして、さらに4円/リットル程度が加算された。この内訳は設備費、広告宣伝費、カードシステムなど、いわる品質保証、安定供給を含めたブランド料を名目として加算したものである。そのため販売業者から「この加算されたブランド料が業転との価格差となり、仕切価格が割高となっている。ブランド料を引き下げるべきである」との反発が出ており、今日に及んでいる。
今回の調査では、仕切価格の設定における金額や条件について開示を受けていないとの回答が54%あり、販売関連コストは51%が開示を受けていないと回答している。そのため元売の仕切価格改定の通告は一方的であり、調整の余地はないとの意見が販売業者の多数を占める。元売は「新体系の導入時に説明しており、了解を得ている」としているため、議論がかみ合わない。元売の説明不足が指摘されているが、どの程度、理解を得て、納得されているかの実態把握は難しいところである。
通常の取引段階では、元売と特約店との間に信頼関係が成立しており、仕切価格の内容についてよく詰めていないケースもある。売り手と買い手の立場の違いから双方の力関係が影響し、相場感もあって常に対立することもない。現在の週決め方式は、たしかに一方的な通告となっているが、市場連動で行なわれているものの、原油価格の先行き見通し、業転・先物市況、他社の動向など総合的な判断が絡んで価格改定となっているため、その内容を説明することは難しい。また、業転ルールの策定となると、元売は品質保証、消費者保護の立場から業転を認めていないため、調整が難しい。