日刊ニュース

2013.08.21 のニュース

元売、業績回復の好材料が揃う-輸出増、増販で需給締まり利益確保-

 元売の業績は、①猛暑によるガソリンの増販、②円安による石油製品輸出の増加、③需給タイトによる仕切価格の値上げの浸透などから回復が見込まれている。4月~6月の石油事業(石油製品)は、在庫影響等を除くと各社とも赤字となっており、JX日鉱日石エネルギーは257億円、コスモ石油は127億円の経常損失となった。出光興産は65億円、東燃ゼネラル石油は105億円の営業損失となっている。
 このような赤字の要因は、4月~6月の原油価格が高止まりで推移、為替が100円/ドル前後と円安に転じたため、コスト高となったことがあげられる。一方、ガソリンは2月~3月が販売減、4月以降は不需要期に入ったことで減販による供給増となり、中間留分を含めて業転市況が急落したためコスト割れとなった。製油所の定期修理時期であったが、市中買いも停止したこともあり、打つ手もなく供給増が続いた。
 しかし、7月に入り猛暑日が続きガソリン販売も増加、円安効果による輸出増もあって需給が締まってきた。加えて原油価格(ドバイ)は7月が103.50ドル/バーレルで前月に比べて3ドルの値上がり、為替は101円/ドルで2円の円安となったため、元売は赤字解消を図り、仕切価格は連続値上げとなった。この元売の強気方針が販売業者にも伝わり、ユーザー転嫁が一気に軌道に乗った。
 ガソリンの7月仕切価格は累計で8円50銭/リットルの値上げ(加重平均4円50銭~4円70銭値上げ)となり、末端市況は8円~10円の転嫁となった。石油情報センターの調査価格によると、7月初めの全国平均が152円であったものが160円へと8円の値上がりとなっている。8月に入り、仕切価格は2週連続で据置きとなったため、末端市況も160円の横ばいで推移している。7月のガソリン仕切価格の値上げは、①4月~6月での未達分を加算している、②中間留分の値上げ幅を抑えているため、その分ガソリン価格に上乗せしたなどの点もあり大幅となったが、1ヵ月の短期間で値上げを達成したことになる。また、販売業者も毎週の仕切価格の値上げを受けてユーザー転嫁に取り組んだ。
 仕切価格の値上げとユーザー転嫁は、原油価格、為替の動向をみながら打ち出されるが、元売と販売業者の見通しが一致することがポイントとなる。その点7月は、ガソリンが需要明に入り、さらに猛暑により増販で需給が締まったことが好材料となり、その結果、ユーザー転嫁が浸透した。元売サイドも、4月~6月の赤字を7月で挽回するチャンスとみて、各社の足並みが揃った。
 8月も猛暑で増販となりそうであるが、その反動で9月は減販が懸念されている。160円相場となったことから、ユーザーは価格に敏感に反応して、1回のガソリン給油に際して数量や金額を限定するケースも増えている。そのため、9月の販売動向には警戒が必要となる。ただ、8月のガソリンの販売数量は大きく変動していないことから、増販傾向が続くとの期待感もある。
 高値になると安いセルフSSが有利となり、割高のフルサービスSSが不利になるとの見方もあるが、ユーザーの動向を意識して値下げすることなく、マージン確保を優先し販売することが重要である。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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