日刊ニュース

2013.08.23 のニュース

すでに業転ルートは確立-系列ルートでの攻め合いも-

 業転と系列仕切との価格差の縮小が問題となっているが、その決め手は需給をタイトにして業転市況を値上げすることになる。そのためには明年3月末で期限となるエネルギー高度化法による設備処理を半年間待つことになるが、今後は、業転玉の数量が減少して、市況が安定する新しい秩序の形成が期待される。だが、すでに業転ルートは確立されており、これを減らして系列ルートを増やし、双方がうまく共存してことができるかが今後の課題となる。
 トッパーを処理して原油処理量が減少しても、重質分解装置などの二次装置が増強されているため、ガソリン、中間留分などの増産が可能となり、依然、供給増の体制は残るとの悲観的な見方もある。しかし、原油処理量が減少すれば、石油製品の生産能力が減少するため、これまでのような供給過剰は解消され、需給がタイトになるとの期待感は強い。
 石油製品の販売は、需要期、不需要期での波があり、需給を常にタイトにすることは難しい。一方では、安定供給の役割もあり、ある程度の余裕を持って供給するには業転玉の流通が必要となる。業転の定義も問題となるが、公正取引委員会によるガソリン取引きの実態調査の報告書では、「業転玉」とは「元売の系列ルート以外の流通経路で流通するガソリンをいう」と定義している。業転玉となる系列ルート以外の経路は、①商社、業転業者等が元売からガソリンを仕入れ、他の流通業者やSS等に対して販売するルート、②商社、業転業者等がガソリンを輸入し、他の流通業者やSS等に対して販売するルート、③先物取引市場を通じて受け渡され流通業者やSS等に販売されるルートなどを指す。
 この中で輸入玉、先物市場から流通する玉は少量であり、大半は商社、業転業者を通じて販売されており、全体の20~30%を占めている。商社系では主にPBSSで販売されているが、その他はHC、無印SSなどで販売されている。系列SSでも業転玉を購入している比串は20~30%あるという調査もある。業転が安値となり系列との価格差が拡大すると業転玉を購入する比率が増加する。
 系列業者でも、資金力があり、販売数量を多く扱う大手では、業転玉を購入して価格競争に参入する。また、元売に対して交渉力のある大手業者の場合にも、業転を購入しているケースがあり、安値の業転玉を購入することでHCなどの安値攻勢に対抗している。元売も、すべての販売業者に対して業転玉の購入を禁止することが難しく、暗黙に了解しているケースもあるようである。
 一方、元売サイドも供給増となった玉を調整するため商社、業転業者を通じて放出(販売)する必要が生じるため、業転を活用するルートを確保している。
 業転市況はその時期の需給状況を敏感に反映するため、供給増となれば下落するが、逆に玉不足となれば急騰する。だが、業転高となるのは緊急時などに限られており、通常は業転安で推移している。
 業転ルートも、数量が大量となると、安定供給が確保されている。東日本大震災の時も系列SSは一律に供給がカットされたが、無印SS、PBSS、HCなど業転ルートのSSでは供給カット幅が少なかったという皮肉な結果が出たケースもあった。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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