日刊ニュース

2013.08.28 のニュース

灯油は在庫積み増しと値上げ-ガソリン減販も利益確保がカギ-

 石油連盟の週報による灯油在庫(17日)は、280万キロリットルで前週に比べて22万キロリットル増となり、大幅な積み増しとなった。7月27日から3週間で39万キロリットルの増加となった。前年に比べて23万キロリットル増の水準となっている。これから在庫の積み増しが本格化するが、前年の在庫は8月末が274万キロリットル、ピークは11月末336万キロリットルであったため、前年ベースを確保するとなると約60万キロリットルを積み増しする。
 灯油販売は天候次第であり不確定であるが、基調としては節約、燃料転換が進むため、今後も2%程度のマイナスが見込まれている。
 ガソリンの在庫は210万キロリットルで前週に比べて5万もいの減少となっており、その分、出荷(11日~17日)は128万キロリットルで前週に比べて15万キロリットルの増販となっている。在庫は210万キロリットル程度で推移すれば需給は安定しており市況も維持できる。しかし、在庫が低位であっても販売が減少傾向を強めると、先行きの思惑が絡み需給は緩和するため、今後の販売動向が注目される。
 一方、足元の需給は、製油所の定期修理明けとなり、各社とも生産体制が整うため増産による供給増を懸念するむきもある。だが、円安により製品輸出が好調に転じていることに加え石油化学も増産となっており、需給は安定して推移しそうである。ただ、9月のガソリン販売は夏場商戦が終わることで減販となり、灯油は荷動きが始まるのは10月以降となるため、9月は在庫積み増しの動きと、市況との駆け引きが絡む時期となる。9月下旬には、現在のガソリン高の体系から「灯油高のガソリン安」という体系に移行するため灯油は今後値上がりとなる。
 ガソリンの9月販売は、暦の日数が30日であるため、7~8月の31日と比べると減販となる。だが、9月は連休が2回もあり、好天気となれば秋の行楽で車の利用増加も見込まれ、販売増も期待されるため、大幅に落ち込むことはない。
 9月になると、各社は灯油シーズン入りを前に相場づくりに取り組み灯油を値上げする。夏場は「ガソリン高の灯油安」の価格体系であったが、冬場となれば、完全に「灯油高のガソリン安」に逆転する。足元はガソリン高となっているが、9月の下旬には灯油が値上げとなる。ただ、灯油もガソリンと同様に高値になるとユーザーが節約に取り組むため、難しいところである。
 ガソリンは150円/リットルを超えると節約となるが、灯油も100円/リットル(18リットルで1800円)を超えると節約の傾向が出てくるとみられている。昨シーズンの灯油は、値上がりして100円を超えており、そのため減販となった。足元の原油価格は100ドル/バーレルを超えており、為替が98円/ドルで推移すれば、100円を超すことは必至である。そのため灯油は増販を見込むことはできないが、採算販売を重視してマージン確保を図るべきである。
 4~6月の石油各社の決算では、石油事業がガソリン市況が低迷したため赤字となったが、石油化学の市況が堅調となり黒字でカバーしている。石油化学は今後も好調が持続しそうであり、石油事業は7月以降を黒字として回復することを狙っている。それにはガソリン、灯油が黒字に転換することが前提となる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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