2013.09.19 のニュース
上期業績 夏場での挽回も厳しい-下期はブランド料の引き下げに注目-
9月も終りに近づき、石油各社の上期決算が締め切りとなるが、7~8月では猛暑でガソリン、軽油などの増販と仕切価格の値上げ浸透によってマージンを確保したが、4~6月の赤字をカバーすることは難しいようである。今後は下期の需要期に期待することになるが、同時に仕切価格の体系見直しによるブランド料の引き下げが予想されるため、その結果が、どのように影響するかが注目される。
各社のコアである石油事業でみると、4~6月はコスト増の転嫁が遅れてマージン減となり、実質赤字となった。しかし、石油化学は海外市況が好転し、石油開発は原油価格の高騰で黒字となり、連結決算では黒字となっている。石油事業では7~9月での挽回を目論み、7月に大幅な仕切価格の値上げを実施、ユーザー転嫁も浸透して月次決算では黒字となったものの、上期通期でみると4~6月の赤字分を黒字に転換するのは難しいようである。
7~8月は猛暑によりガソリン、軽油などが増販となりマージンも確保した。だが、8月のガソリン販売も旧盆を過ぎると伸び悩み、ガソリン市況は下落した。しかし、8月末から仕切価格が2円50銭/リットルの値上げとなり、9月に入ってユーザー転嫁が浸透したため160円相場となった。その後に仕切価格が値下がりしており、減販となるなど、ここにきて収益は減少している。今後も市況維持が続くものとみられるが、9月もあと半月を残すのみで、大幅な増益は見込めない。
本格的な業績の回復は、下期以降(10月以降)に持ち越しとなる。下期に入れば、灯油、A重油などが暖房用で増販となり、景気の回復などからガソリン、軽油も上期に比べると収益増が見込まれる。しかし、基調は販売減となっている。灯油も、価格が100円/リットルを超えており、ユーザーの節約が浸透してきたため販売が伸びていない。
下期には、元売各社が、仕切価格の体系を見直しすることも予想され、販売業界もその成り行きを注目しており、期待感も強い。JXは販売関連コスト(ブランド料)の4円を1円引き下げて3円にする方針を伝えている。他社の方針は、様子待ちで未定であるが、大手のJXが実施することになれば、他社も何らかの方策で追随するものとみられる。これは販売業界からの要望である業転と系列仕切との価格差縮小を狙ったものになるが、これを機に価格差が是正され、市況が安定することが期待される。
公取委の「業転の購入・販売を一律に禁止するのではなく、一定のルールの策定を検討すべきある」との提言に対しての、代案としてのブランド料の引き下げであるが、販売業者の思惑通り、業転との価格差が縮小した体系が形成されるか否かを判断するのは、その後の市況実態をみることになる。
業転と仕切価格との価格差は4~5円/リットルあり、この価格差がHC、量販店、無印SSなどの安値販売につながり、系列特約店の経営を圧迫している。このため、仕切価格の引き下げが業転の値上げの要求となっていた。しかし、この体系の見直しに対しての期待感が大きいが、ブランド料の引き下げを機に市況が下落するとの懸念も残る。