日刊ニュース

2013.09.25 のニュース

原油110ドル前後での推移を-石油業界は適正な水準と目論む-

 原油価格は、シリア情勢を巡ってアメリカの攻撃が後退したことから値下がりしたが、18日には米連邦公開市場委員会が量的金融緩和策第3弾(QE3)の縮小を見送ったため、金融緩和で余剰資金が市場に流入との見方から株価が高騰、原油(WTI)も108ドル/バーレルに値上がり、為替も97円/ドルと円高に転じた。翌日は、安値の反動で値下がり107ドルに戻し、為替も99円/ドルに戻した。
 このように原油価格の見通しは難しいが、ここにきてWTIが値上がり、ドバイとの価格差が縮小してきた。7月平均でWTIが105ドル、ドバイが104ドルと逆転している。8月は値上がりしたが、9月は値下がりとなって推移しており、仕切価格は、値下がりとなっている。
 以前は原油価格の指標がWTIとおり、アメリカ国内の在庫水準、製品需給状況、景気動向などを反映して相場が動いていたが、流動性も低下したためアメリカの国内相場となり、世界の指標として通用しなくなった。そのため、中東、アフリカ情勢を敏感に反映するブレント、ドバイが指標となっていた。このとき、ブレントとWTIとの価格差が15~20ドルと大幅に拡大している。しかし、WTIが値上がりに転じてきたためブレント、ドバイとの価格差が縮小しており、WTIとドバイは、同値となってきたもの。
 日本の輸入原油価格は、中東のドバイに連動するため、ドバイの値動き中心となり、WTIの相場には、影響されることはないが、大幅な差が生じたことで戸惑いもあった。だが、ここにきて相場が接近したことで、原油価格の動向として正常化してきたことになる。
 ドバイで見るとシリア情勢の緊迫で8月には113ドルに値上がりし、足元では107~109ドルへと下落したが、当面は110ドル前後で推移する100ドル台の高止まりが予想されている。各社の決算見通しでは原油(ドバイ)は100ドル/バーレル、為替が100円/ドルとなっており、現在の為替が98~99円、原油価格が100ドルを超えていることから、見通し通りとなっている。
 原油価格が乱高下すると、コスト変動に伴うユーザー転嫁策で苦慮するが、下落した場合、在庫評価損が発生し、値下がり局面となると、末端市況は先取りして下落するため、利益を吐き出すことになる。また、石油開発事業では販売価格の値下がりは即減益となるため業績面ではマイナスとなる。一方、急騰した場合、在庫評価益が発生するため、見た目の決算は増益となる。さらに石油開発事業は原油価格の高騰が即利益の増加となるため、原油高は業績の向上に繋がり好材料となる。
 原油価格の高騰は、石油製品の値上げりに伴うコスト増の転嫁が急務となるが、ユーザーへの転嫁は遅れることが通常であり、結果的には石油業界の負担となる。また、石油製品の値上がりは、消費節約を招き減販となる。これを増販でカバーしようとすると、市況下落の悪循環を繰り返すことになる。結果的にはユーザー転嫁が遅れることになり、在庫評価益を除くと赤字となるケースが増える。それでも見た目の決算は黒字となるため、原油価格の値下がりよりも原油高を歓迎するが、これも限度があり、OPECと同様に、石油業界も原油は100ドル相場が居心地のよい水準となっているようである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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