日刊ニュース

2013.09.27 のニュース

ブランド料の引き下げ-SSのマージン増が狙い-

 JX日鉱日石エネルギーが販売関連コスト(ブランド料)を1円/リットル引き下げ、3円とすることが10月から実施となる。他の元売は様子待ちの構えであるが、JXが公取委の報告に対しての回答としているため、今後の推移をみて他社も対応するものとみられる。
 ブランド料が1円引き下げることは、仕切価格が1円値下がりすることになる。販売価格が横ばいであれば、販売業者のマージンは1円増となり、月間100キロリットル販売しているSSでは10万円の増益となり、SS経営の改善に寄与することになる。今回のブランド料の引き下げは、業転と系列仕切との価格差縮小が目的であるが、販売業者への利益還元の意味もあり、SS経営の安定化につなげるための支援措置となっている。だが、ブランド料1円の引き下げに対し、そのまま販売価格を1円値下げすればユーザーに1円を還元することになり、販売業者には何のメリットも生じない。
 元売としてはブランド料1円の引き下げによって、年間で数百億円の減益となるため、そのマイナス分をカバーするには業転を値上げするか、他油種に転嫁するか、社内での合理化で捻出することになる。しかし、ブランド料を引き下げしても、業転が値上がりする保障はなく、仕切価格の値下がりは業転の値下がりに連動することも予想されるため、元売による今後の需給、市況対策が重要となる。仕切価格を値下げしたが、業転は値上がりせず、連動して値下がりすることになると最悪のケ-スとなり、元売の業績は悪化する。
 業転市況は、常に変動しているため1日で2~3円と大幅な値動きをすることもある。業転の値動きは、原油価格などコストの変動に影響されるが、主に需給を反映するため業転市況を維持、値上げするには、常に需給をタイトにすることがポイントとなる。そのため実需に見合った生産が求められるが、販売数量の予測は難しく、今年の春場のように予想以上の減販となると減産が間に合わず、需給が緩和して業転市況が下落、元売の業績が悪化した例もある。業転は余剰玉であるため、常に仕切価格よりは割安となっており、その値動きには原油価格の見通しを材料とした思惑も絡むため、一般の販売業者との見通しと違った値動きをするケースもある。
 ただ、1円のブランド料の引き下げとなったものの、仕切価格は毎週改定されており、時間の経過とともに不透明となる公算も強い。当初は仕切価格の原価にブランド料を1円引き下げた3円が織り込まれるが、その後に2~3円の価格改定が繰り返されると、区別がつかなくなる。現に8月31日からの仕切価格改定ではJXは据え置きとしたが、他社は2円50銭の値上げを実施した。この時点でブランド料の引き下げが加味されたとの見方もあり、仕切据え置きによって業転との価格差が縮小したことになる。一方で2円50銭の値上げに対しては、JX系SSも含め各SSに末端市況の値上げが浸透した。だが、9月に入り3週連続して仕切価格が値下がり、末端市況は再び値下がりとなってきた。このようにみると、1円のブランド料の引き下げは重要な意味を持つが、これまでの商取引きが継続して実施されていると不透明となる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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